〔随 想〕
「車」のある生活
更生訓練所 職能部長 福岡伸夫



 本年4月所沢に異動となり、現在、車による通勤を大いに 楽しんでいる。なぜなら車に毎日乗れるからである。車を初 めて持ったのが7年程前でつい最近のことであるが、16歳で 自動二輪、18歳で車の免許を取っているので、免許歴として は比較的長いほうではないかと思う。
 若いうちは、オイルの焼けた匂い、単気筒が醸しだすサウ ンド、自転車のような手軽さ、何よりも風を感じながら走る 爽快感など、種々の魅力が一杯のバイクのほうが車より大好 きであった。学校を卒業後福岡視力センターの方で働き始め るとすぐに、中古のバイクを購入し、その当時パチンコに熱 中していたので、日曜日になると天神、西陣、姪ノ浜、前原 などへ出かけていた。また、福岡視力センターの近くには、 有田や唐津といった陶器で有名な場所も多く、陶器市などには 散策がてらに出かけるなど、バイクのある生活をエンジョイ していた。
 購入したバイクは90CCの原動機付自転車であったため、 遠乗りには向いておらず、1回だけ福岡から故郷の水俣まで ツーリングしたことがあった。その時上司や先輩たちが事故 でも起こしはしないかと、大変心配されていたことを後から 知り、その1回きりで遠乗りはしなかったが、先に述べた通り、 パチンコ大好き人間だったので、毎週のようにバイクを乗り 回していた。
 事故といえば、2度ほど事故ったことがあるが、運良く大事 には至らずに今日にいたっている。1回目は、どしゃ降りの 雨の中のパチンコ帰り、水溜りでスリップしてしまい、道路の 反対車線を人間スキーのようにバイクごと滑ってしまい、着て いたブレザーもぼろぼろに破けるほどであったが、幸いなこ とに対向車が来なかったので大事には至らずに済んだ。2回目は、 繁華街での十字路で、自分は直進しているにもかかわらず、 前方不注意のライトバンがそのまま右折してきたため避けき れず、車の側面に衝突してしまったが、この時も交差点で スピードも出ていなかったため、ハンドルが少々曲がったぐらい で済んでいる。皆さんも、1度か2度はこのような経験を されていると思うが、お互いに事故には十分に気をつけたい ものである。
 異動で東京に出てきてからは、5、6年ほどスクーターに 乗っていたが、立て続けに4回盗難にあい、最終的には見つ からず、その後、今回の車を購入するまでの長い間、車の無い 生活が続いてしまった。それまでは必要の都度タクシーを利用 すればより経済的であり、安全でもあるとして、長年の間車を 持つことに関心を持てずにいた。さすがに現在の住居に移って からは、買い物をするにも不便で、日常生活上どうしても車が 必要であるとの結論に達し、現在の車を購入した。購入に際 して多くの友人たちからは、中古車から始めた方がいいという 忠告はあったが、運転はできるという自信もあったので新車を 購入したが、1週間もたたないうちに早朝の運転トレーニング中、 早速傷つけてしまった。
 車にはバイクとは違って、行動範囲が格段に広がった点、天気 に左右されない点、アクセルを踏み込むだけでぐんぐんスピード が出る点、何よりも自分専用の居場所ができた点などがあり、 なぜもっと早くから持たなかったのかという後悔の念を強く 感じている。
 自動車の運転には本人の性格が出るということをよく耳に するが、自己分析してみると、かなりの負けず嫌いな面、かなり のスピード狂的な面も見られるなど、自分では感じていなかった 性格を垣間見る思いがしている。
 現在持っている車には、日常的には何の不満もなく、愛着も 持ってはいるが、走行距離も7万キロ近くとなり、高速道路での 追い越しや居住性に少々不満があり、現在、買い替えを検討中 である。車関係の雑誌を購入しては対象車種を研究中であるが、 次々と新しい車が販売され、どのような車にするか大変悩ましい 時間を過ごしているが、この間もこれまた楽しいのである。
 新車を購入したら、これまで経験してきたヒャリ、ハッとを 教訓として、今まで以上に安全運転第一をモットーに運転して いきたいと思っている。