〔学院情報〕
「平成15年度 身体障害者更生相談所
身体障害者福祉司等実務研修会を終えて」
学院事務室
執筆:研修担当副責任者 更生訓練所指導部 相談判定課 調整係長 工藤 裕司



 本研修会につきましては、今年度も6月23日から27日までの 5日間にわたって開催されました。梅雨時の不安定な天候の中、 全国の身体障害者更生相談所から40名の受講者が集い、熱心な 討議が展開されました。
 今年の受講者の平均年齢は43歳、ベテランの方々が多い割には、 この4月に異動で現在の職務に就いた方が約半数を占めるなど、 更生相談所の業務にあたる上では比較的初任者の方が多かった ようです。
 講義に関しては、厚労省の障害福祉専門官や福祉機器専門官など、 行政の最前線で活躍されている方々のわかりやすい行政説明などが 好評でした。また、東松山市総合福祉エリアの曽根先生からは、 障害者の地域生活を支援する実践活動の貴重なご紹介がありました。 特に最終日のさいたま市の更生相談所準備室の飯田先生からは、 発刊されたばかりの「更生相談所事務マニュアル」に基づき、 「現在の更生相談所は盲腸みたいなもの。高い専門性をもった 相談機関として必要不可欠な存在となるための変革が必要だ。」 との厳しくも暖かい激励のお言葉をいただきました。
 一方、この研修の目玉であるグループ討議では、「地域生活支援」 「障害認定基準」「補装具・日常生活用具」の3グループに分かれ、 各自治体の抱える問題点などに関しての情報交換が行われました。
 「地域生活支援」グループにおいては、障害者ケアマネジメントの 手法や国の「障害者地域生活推進特別モデル事業」の活用などによって、 地域で暮らす障害者を支援する体制に更生相談所としてどのように 関われるかなどが討議の中心となりました。
 また、「障害認定基準」グループでは、今年度から一部改正されて 運用が開始された認定基準の解説や、身障手帳の交付に関して 各自治体が判断に苦慮している事例などを中心に討議されました。
 そして「補装具・日常生活用具」グループでは、討議の中心は やはり基準外交付の取扱いで、高額化しながら増加している特殊な 補装具などに対する審査のあり方などが討議されました。
 これらのグループ討議の結果は、最終日に全体発表され、問題意識 の共有化が図られました。
 最後に、今回の研修を通しての感想を書かせていただきますなら、 受講者のアンケートにもいくつか記載があったように、更生相談所の 業務自体が幅広く複雑なため、「更生相談所の担当者研修」とういう 区切りでの実施は困難となりつつあるように感じました。たとえば 「地域生活支援担当者研修会」や「手帳交付事務担当者研修会」など というように、業務内容でテーマを絞り、各自治体における業務内容を 機軸に横のつながりをもった受講者の募集が有効ではないかとも 思われました。
 今回の研修を終え、それぞれの受講者が地元に成果を持ち帰り、 ますますご活躍されることを祈念いたします。また、各講義を担当 された講師の皆様方にもこの場をお借りして、改めてお礼申し上げます。

身体障害者更生相談所身体障害者福祉司等実務研修会


平成15年度 身体障害者更生相談所
身体障害者福祉司等実務研修会 実施結果

月日 午前 午後
6月
23日
(月)
 
13:00〜13:25
 開講式・オリエンテーション
 
13:30〜17:00
 「障害者保健福祉行政の動向」
  社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
   障害福祉専門官  小田島 明
24日
(火)
9:00〜12:00
 「地域生活支援とケアマネジメント」
  社会・援護局障害保健福祉部企画課
   障害福祉専門官  石渡 博幸
13:00〜15:30
 「東松山市における地域支援について」
  東松山市総合福祉エリア
   総合相談・訪問サービスセンター所長
    曽根 直樹
 
15:40〜17:00
 「東京都における補装具交付について」
  東京都心身障害者福祉センター
   肢体不自由判定係長  湯浅 豊
25日
(水)
10:00〜15:00 (現地集合、現地解散)
 ※ 3班に別れて実地研修を実施
    東京都心身障害者福祉センター(仁木)
    埼玉県総合リハビリテーションセンター(高橋)
    国立身体障害者リハビリテーションセンター(生訓課、補装具制作部)
26日
(木)
9:00〜12:30
 グループ討議(事例発表)
  「障害認定基準について」
   (助言者:加藤 晴喜  工藤 裕司)
  「地域支援について」
   (助言者:小田島 明  石渡 博幸)
  「補装具・日常生活用具関係について」
   (助言者:赤坂 浩)
13:30〜17:00
 グループ討議(事例発表)
  「障害認定基準について」
   (助言者:加藤 晴喜  工藤 裕司)
  「地域支援について」
   (助言者:小田島 明  石渡 博幸)
  「補装具・日常生活用具関係について」
   (助言者:赤坂 浩)
 
17:15〜 意見交換会
27日
(金)
9:00〜10:30
 「補装具・日常生活用具制度の概要について」
  社会・援護局障害保健福祉部
  社会参加推進室 福祉機器専門官 赤坂 浩
 
10:40〜12:00
 「身体障害者更生相談所マニュアルについて」
  さいたま市保健福祉局福祉部
   更生相談所準備室
    顧問  飯田 勝
13:00〜15:10
 「グループ討議結果の発表と全体討議」
  (助言者)    石渡 博幸
            赤坂 浩
            加藤 晴喜
            工藤 裕司
 
15:10〜15:30
 閉講式・修了証書授与