〔更生訓練情報〕
一般リハ合同野外訓練(1泊)報告
指導部指導課 仲川 真理
春日井 中



 今年度から、一般リハビリテーション課程の野外訓練 (以下、キャンプ)は、昨年同様に、「1泊」と「日帰り」の 2コースから、自身の体力に応じて参加するキャンプを自己選択 できる方法を踏襲した上で、聴覚入所者を新たに加えた「全障害 合同(肢体・聴覚・視覚・内部)」という形で実施しました。
 これは、「自己選択制にしたことにより、全障害合同としても 人数の上限が抑えられること」「学院学生の実習参加により、 異なる障害ごとのコミュニケーション手段の確保が図れたこと」 「入所者が普段共に国リハで生活していながら、なかなか交流の 場が少ないこと」また、「お互いの障害特性を理解しながら、 同じ目標に向かって協力し合う中で、幅広い人間性や社会性を 培う絶好の機会として活用してもらいたい」との理由から今回 の実施に繋がりました。
 「1泊コース」は、入所者60名(肢体32名・聴覚28名)が希望し、 他に、職員25名、学院学生25名(リハ体育学科10名・手話通訳 学科15名)が実習として加わり、総勢110名の大所帯での参加と なりました。
 日程は、7月16日(水)から17日(木)にかけての1泊2日。 場所は、東京YMCA山中湖センターです。前日まで雨が降り天候が 心配されましたが、期間中は雨に降られることもなく、予定して いたプログラムは全て最後まで進めることができました。
 今回のキャンプは、あらゆる場面で「お互いの交流」を意識 しました。行き帰りのバスは、肢体入所者、聴覚入所者、職員、 学生が一緒に乗車し、レクリエーションを通じて楽しめるように 設定したり、宿泊するキャビンも、肢体と聴覚の入所者同士が、 また入所者と学生が共に交流できたりするように構成しました。 他にも、炊事やレクリエーション、食堂での食事の際にも、常に いろいろなメンバーと交流し、協力し合える場面がたくさん できるような雰囲気作りを目指しました。
 例えば、炊事やキャンプファイヤーでは、肢体入所者が行動・ 移動する上でうまくいかない時に、同じ班の聴覚入所者が介助・ フォローすることで、より幅の広い活動ができるようになったり、 また逆に、聴覚入所者が判断に悩む際に、肢体入所者がその状況 を説明し、みんなで話し合ったりするといった場面がいくつも 見られました。

バーベキューの様子 キャンプでの夕食


 その反面、反省材料もいろいろと出てきました。
特に大きな課題としては、参加者同士のコミュニケーションの問題です。
 聴覚障害者と肢体入所者及び職員とのコミュニケーション、 意志疎通が困難だったため、レクリエーションの進行がなかなか うまくいきませんでした。これは、当日だけの問題ではなく、 事前準備の話し合いが十分ではなかったことが大きく起因しており、 今後、通訳のあり方も含めて、もう一度考えるべき課題です。 障害ごとにやりたいことがバラバラなため、互いに納得し、且つ、 楽しめる内容にまとめることがいかに難しいかを痛感させられました。
 今年度も昨年同様、入所者を中心とした実行委員会を5月より 毎週月曜日のホームルーム後に開き、約2ヶ月という時間をかけ、 全員で討議を重ねながら準備してきました。全障害合同のキャンプ の良かった点、難しかった点を整理し、各部署との連携を見直し、 また来年度に向けて生かしていきたいと思っています。
 最後になりましたが、今回、大きなケガや病気・事故もなく、 計画していたプログラムを無事に終えることができました。 参加者全員がキャンプを実りあるものにしようという意気込みが、 今回の連携に結びついたと感じています。
 以下に、今回のアンケート結果をまとめましたので、御報告いたします。






平成15年度 野外訓練実施後のアンケート調査結果(1泊コース)

(1) 調査対象者数    107名(山中湖キャンプ参加者)

(2) 性   別       男 69名/女 38名

(3) 回 答 者      100名

(4) 回 収 率      93.5%

(5) アンケート結果

  良い どちらとも
いえない
良くない 無回答
食事のメニューについては? 69% 17% 11% 3%
レクについては? 51% 31% 17% 1%
キャンプファイアーについては? 51% 34% 13% 2%
しおりについては? 81% 13% 5% 1%
訓練場所(山中湖)については? 85% 11% 3% 1%
1泊と日帰りの選択制については? 72% 23% 2% 3%
全員参加制については? 61% 31% 5% 3%
障害合同の野外訓練について
 1.係の打ち合わせ・実行委員会は? 61% 29% 7% 3%
 2.キャンプ当日は? 82% 14% 3% 1%

1 野外訓練で最も楽しかったものは何ですか?

 「自炊」「ボート」「キャンプファイアー」「花火」などの意見が多かった。


2 全体の感想

 「2泊3日のコースを設けて欲しい」「入所者、職員お互いに交流の場としてはよかった」という意見が多数あった。
 そのほか、「コミュニケーションをとるのが難しかった」「いい思い出になった」「寒かったのが残念」等の意見もあがっていた。