〔野鳥シリーズ34〕 |
リハセンターに飛来する野鳥を友に |
東京都福祉事業協会 母子生活支援施設 スタルト方南 見原 捷三(元理療教育部長) |
アカゲラ(赤啄木鳥)
アカゲラは、全長約23.5pで写真(雄)のとおり、嘴は真っ直
ぐにとがって、頭頂の部分は黒く、後に赤色斑(雌は赤くない)、
嘴と足も黒で、止まっている時は黒い背に逆八字型の大白斑が
あらわれます。鳴き声は、「キョツ、キョツ」と鳴き、飛ぶ時は、
翼を数回羽ばたいてから大きな波型を描いて飛びます。
生息地は、全国各地の森林に生息していますが、街中の公園
でも観察することができます。
キツツキ類の特徴は、木の幹をラセン状に登りながら餌を
あさります。アカゲラの餌は昆虫が主ですが、時には木の実も
食べます。それから、もう一つの特徴として、頭骨に巻く様に
収められている長い舌は、先端がカギ状になっていて、これを
繰り出して木の皮の内側や穴の中に潜んでいる虫を引っ張り出
して食べます。
繁殖期が近づくと、嘴で木の幹を叩くドラミングを行い、番
(つがい)の相手を探します。無事ゴールインすると5〜6
月頃には、枯れ木などの軟らかい部分を嘴で叩いて、直径5cm、
深さ30〜45cm程の穴を空けて巣を作り、約2週間抱卵、約3週
間で巣立ちます。
ところで、キツツキと言えば、著者が塩原センターに勤務して
いた頃、松尾芭蕉の足跡をたどって、栃木県の黒羽町にある雲巌
寺を訪ねた際、境内の句碑に次の俳句が刻まれていました。
「啄木鳥も 庵(いお)は破らず 夏木立」
この俳句は、あちこちに穴を空けるキツツキも、さすがに高僧
の仏頂和尚の山居跡は、破らなかったという意味の俳句です。
そこで、この句に詠われているキツツキは、アカゲラ、コゲラ、
はたまたアオゲラだったのかと思いを馳せたことでした。