〔学院情報〕
平成15年度 リハビリテーション看護研修会を終えて
学院事務室
執筆:病院
看護部 4階病棟看護師長 安済 ノブ



 去る10月14日(火)から10月17日(金)の4日間、当センター において、平成15年度リハビリテーション看護研修会を開催し、 終了しましたのでご報告いたします。
 本年も北は北海道から南は沖縄に及ぶ都道府県の施設、リハ 病院、病院から54人の参加がありました。
 テーマは昨年度に引き続き「脳損傷の認知障害の看護」で実施 いたしましたが、受講生にとりましては、脳損傷による認知障害 のある方に提供する看護について多方面から学ぶことができ、 多大な収穫を得たものと確信いたしております。国リハ3階病棟 から参加しました澤田理沙さんの感想を掲載します。

3階病棟看護師  澤田 理沙

 私が今現在働いている3階病棟では、高次脳機能障害を持つ 患者様が多数入院している。日頃から高次脳機能障害に対する アプローチを行っているが、毎回患者様の障害の種類や障害の 程度・生活暦や周囲の環境などの違いから対応の難しさを感じ ている。講義のなかで何人もの先生がおっしゃっていたが、目に 見えない障害であるため患者様本人も気づきにくく、またご家族 の方もなかなか認識することができないため、毎回説明に苦慮 している。今回の研修会に参加して高次脳機能障害について 改めて自分の知識を整理でき、患者様やそのご家族へさらによい 援助ができるようになりたいと感じた。
 特に家族看護の講義では「家族」のとらえ方や家族看護におけ る看護師の姿勢を学ぶことができた。今まではどうしても自分の 価値観が優先してしまい、自分の考えを押しつけているところが あったように思う。看護師として自分の持っている知識を提供 することは必要であるが、偏った情報や不十分な知識ではご家族 が選べる選択肢が少なくなってしまう。患者様やそのご家族が よりよい生活を送れるよう今後もいろいろな研修に参加し、学び 経験を積んでいきたいと思う。
リハビリテーション看護研修会の様子  また、脳血管障害や外傷性脳損傷の看護アプローチの講義では ほとんどが今現在3階病棟でも行っていることではあったが、 環境調整が非常に大切であることを改めて認識した。病棟に監視 センサーが導入されてからかなり離棟・離院を防止することがで きるようになった。リハビリテーションを行うにあたり安全に生 活が送れるように援助することは非常に大切であることを学んだ。
 医療技術の進歩によって助かる命が増えた分、障害のある方も 増加している。特に外傷性脳損傷では若年の男性に多く、ご家族 の回復への期待も大きい。患者様やそのご家族の方へ高次脳機能 障害について理解していただくため、また、新たな生活をスタート できるようリハビリテーションチームの一員として看護師の役割 を果たせるように努力していきたいと思う。




平成15年度 リハビリテーション看護研修会日程表
テーマ:脳損傷の認知障害と看護

日付 午前 午後
10月14日
(火)
 
開講式・オリエンテーション
(12:30-13:30)
  (センター紹介ビデオ放映)
1 障害者福祉の動向
(13:40-15:00)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
企画課 障害福祉専門官 石渡 博幸
2 知的障害の医学と療育
(15:10-16:40)
秩父学園 園長 吉野 邦夫
15日
(水)
3 リハビリテーション看護の機能・役割
(9:00-10:30)
広島県立保健福祉大学保健福祉学部
看護学科 教授 金城 利雄
4 脳血管障害のリハビリテーション
(10:40-12:10)
慶応大学医学部リハビリテーション
医学教室 助教授 里宇 明元
5 心理評価
(13:30-15:00)
国立身体障害者リハビリテーションセンター
指導部 相談判定課 主任心理判定専門職
小熊 順子
6 高次脳機能障害モデル事業の展開
(15:10-15:40)
国立身体障害者リハビリテーションセンター
研究所 感覚機能系研究部長 中島 八十一
施設見学
(15:40-16:40)
16日
(木)
7 脳外傷の認知障害とリハビリテーション
(9:00-10:30)
神奈川リハビリテーション病院
リハビリテーション部 部長 大橋 正洋
8 脳損傷の認知障害と作業療法
(10:40-12:00)
国立身体障害者リハビリテーションセンター
病院 作業療法士長  森田 稲子
9 家族看護
(13:30-16:30)
家族看護研究所 所長 渡辺 裕子
 講義
 グループワーク(事例検討)
17日
(金)
10 脳血管障害の看護アプローチ
(9:00-10:30)
国立身体障害者リハビリテーションセンター
病院 看護師 長島 緑
11 外傷性脳損傷の看護アプローチ
(10:40-12:10)
 神奈川リハビリテーション病院
看護師長 小林美佐子
12 社会的支援
(13:30-15;00)
埼玉県総合リハビリテーションセンター医療局
医療局診療部 医療相談科長 海津 加代子
閉講式
(15:10-15:40)