〔学院情報〕
平成15年度 手話通訳士研修会を終えて
学院事務室
執筆:学院 手話通訳学科 教官 市田 泰弘



 10月20日〜24日までの5日間の日程で、手話通訳士専門研修会 を実施しましたので報告いたします。
 本研修会は、厚生労働大臣公認手話通訳士試験の合格者を対象 とし、さらなる技術・知識の向上に寄与することを目的として実施 しています。手話通訳士試験がスタートしたのは平成元年ですが、 翌年の平成2年度には研修会をスタートさせ、今回が14回目です。 これまで254名が受講・修了し、今年の研修には16名が参加しました。
 今回の研修会のプログラム編成に際しては、例年通り、手話 通訳士に求められる専門性として重要な課題となっている以下の 三点をその柱としました。
(1)聴覚障害者の人権に深く関わる分野(例えば、教育、医療、 裁判、財産管理、福祉、政見放送等)における専門性を高めること
(2)地域における手話通訳活動全般に関するコーディネーター としての役割を果たすこと
(3)多様な背景をもつ聴覚障害者のさまざまなニーズに対応 できること
 これに、本センター学院手話通訳学科における通訳指導の最新 の理論と実践を紹介する実技科目と、ろう教育を取り巻く昨今の 情況などを加え、プログラムを作成しました。講師陣には、例年 ご協力をいただいている講師の先生方のほか、「聴覚障害者の 心理臨床」で、琵琶湖病院・心理相談室の古賀恵理子先生をお迎 えしました。また、今回も日本手話通訳士協会のご協力をいただ きました。
手話通訳士研修会の様子  ここ数年、受講者アンケートによると、実技科目の充実を求め る声が多かったため、今回の研修会から実技科目を増やすことを 検討しましたが、他のプログラムとの関係で実現しませんでした。 今回も研修会のプログラム・内容は、受講者には概ね好評でした が、やはり「実技関係の科目の時間が少ない。もっと時間を 増やしてほしい」という声が多く寄せられました。
 昨年度発足した(社福)全国手話研修センターでも、同種の 研修会が定期的に開催されています。センターの独自性を生かす という意味でも、受講者からの要望の強い実技関係の科目を充実 させる方向で、今後も質の高い研修会を実施していきたいと考え ています。



平成15年度手話通訳士専門研修会日程表

日付 午前 午後
10月
20日
(月)
 
開講式・オリエンテーション
(12:30-13:30)
1 聴覚障害者と言語T
(13:30-17:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 市田 泰弘
学院教官 木村 晴美
21日
(火)
2 聴覚障害者と言語U
(9:00-12:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 市田 泰弘
学院教官 木村 晴美
3 手話通訳派遣業務
(13:00-15:00)
 横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設
施設長 北村 和武
4 障害者福祉の理念と動向
(15:10-17:10)
厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部企画課
障害福祉専門官 石渡 博幸
22日
(水)
5 通訳トレーニング技法T
(9:00-12:00)
 【日本語→手話通訳】
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 木村 晴美
 東京家政大学
非常勤講師 小薗江 聡
 世田谷福祉専門学校
非常勤講師 赤堀 仁美
 市川市ろう者協会
手話対策部長 数見 陽子
 日本手話教育研究会
会長 川島 清
6 ろう教育の最近の動向
(13:00-17:00)
 NPOバイリンガルろう教育センター
龍の子学園 理事 竹内 かおり
全国ろう児をもつ親の会 会長 岡本 みどり
23日
(木)
7 通訳トレーニング技法U
(9:00-11:00)
 【手話→日本語通訳】
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 市田 泰弘
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 森田 純子
8 医療場面の手話通訳
(11:10-12:10)
日本手話通訳士協会 会長 小椋 英子
9 医療場面の手話通訳
(13:00-15:00)
日本手話通訳士協会 会長 小椋 英子
10 聴覚障害者の心理臨床
(15:10-17:10)
琵琶湖病院 心理相談室 古賀 恵里子
24日
(金)
11 政見放送における手話通訳
 日本手話通訳士協会 理事 山田 京子
12 通訳トレーニング技法V
(13:00-15:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 市田 泰弘
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
学院教官 森田 純子
閉講式
(15:00-15:15)