[学院情報]
平成16年度 視覚障害生活支援研修会を終えて
学院事務室
執筆:研修担当責任者
更生訓練所 指導部 生活訓練課
生活訓練専門職 河野智子



 去る6月7日(月)〜11日(金)の5日間、当センター学院において、平成16年度 視覚障害生活支援研修会が開催し、盛会裡のうちに終了しましたので、ご報告いたします。
 各地域の視覚障害の方に関わる20名の受講者においては、視能訓練士、生活支援員、 身障施設ケアサービススタッフ、保健技士、盲学校寄宿舎支援員、教員、老人ホーム 相談員、ヘルパー派遣担当者等、様々な職種の方々にお集まりいただきました。
 本研修会は、基礎的な医学知識、障害者福祉の動向と援助技術の講義を初め、 移動介助やパソコン等の実技演習を経て、視覚障害の方々への具体的な援助方法の 習得を目指すものです。受講後は地域障害者のニーズに応じた支援を実践しながら、 各々の職場においては情報提供に務め、また研修会における各職種間の情報交換を 基に築かれたネットワークが、地域の視覚障害の方々の支援体制作りに活かされる ことを期待しております。
 なお、今年度の研修内容は、別添カリキュラムのとおりです。 昨年度は外部講師を初めてお招きして、在宅障害者の方々に対する実践的な支援方法 について理解を深めることができました。今回は「障害者福祉の現状と課題」の題名で、 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課の石渡障害福祉専門官から、支援費制度 施行後の障害者サービスへの影響と福祉施策の再構築の必要性について講義をして いただきました。ここでは、利用者本位の地域支援の実現に向けた体制作りに、 私達がどのような理念で関わるべきかの具体的な示唆をいただきました。それから、 当センター理療教育部の藤野教官による「視覚障害者の支援〜支援を受ける立場 から〜」の講義では、視覚に障害のある方々への対応事例を解説して頂く一方で、 支援費制度導入以降、例えば時間帯によって利用料が決定されていることが支援 のあり方などに影響を及ぼしており、これらのお話からは、利用者本位のサービス を提供するためには多数の課題が残されていることと、地域の利用者の声を どのような方法で生かすことができるのか、それぞれの立場で考える機会となりました。
 また、研修会の最終日に受講生の皆様へお願いしているアンケート調査では、 主な意見として、以下のように伺うことができましたので、ご覧ください。


 
  • 難しくなりがちな福祉行政や糖尿病の知識について我々の視点で 解りやすい内容の講義が聞け、視覚障害の方の基本的な支援方法を 多方面から理解することができた。
  • 移動介助の技術は即実践できる内容であり職場で生かしたい。
  • アイマスクやシミュレーション体験ができたことと、当事者の方の 生の声が聞けたことで視覚障害の方の気持ちを理解することに繋がった。
  • ガイドヘルパー養成事業の企画に備えて参考になった。
  • 毎日接している視覚障害の方への支援方法が不十分であったことに気づき、 忘れてしまいがちな基本的な技術の意味や支援の理念について改めて再認識できた。
  • 盲重複障害者、ロービジョン等症例別の事例検討や意見交換を希望したい。


 受講生の皆様方よりいただきましたご意見を参考としまして、来年度開催予定の 本研修会は、より充実した研修内容の提供を行いたいと考えております。
 最後に、業務ご多忙の中にもかかわらず、本研修会運営のために、ご支援、ご協力 いただきました外部・内部講師の先生方に、厚く御礼申し上げます。




平成16年度 視覚障害生活支援研修会


視覚障害生活支援研修会 実技の様子1 視覚障害生活支援研修会 実技の様子2


 
平成16年度 視覚障害生活支援研修会 日程表
月日 午前 午後
6月
7日
(月)
・開講式、オリエンテーション
(センター紹介ビデオ)
(10:00-11:00)
・センター見学
(11:10-12:00)
1 視覚に障害をもつ者のリハビリテーション
(13:00-14:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
  生活訓練課長   山添 秀次
2 糖尿病と視覚障害
(14:10-16:20)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
病院 内科医長   沼山 貴也
8日
(火)
3 身体障害者の福祉
(9:00-10:30)
 厚生労働省社会・援護局
  障害保健福祉部 企画課
障害福祉専門官  石渡 博幸
4 日常生活用具紹介
(11:00-12:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
  生活訓練専門職  河野 智子
5 視覚障害者のコミュニケーション(パソコン)
1 講義             (13:00-14:30)
2 実技             (14:40-16:00)
 日本盲人職能開発センター
職能開発訓練課長 井上 英子
9日
(水)
6 移動介助の基本テクニック
1 講義              (9:00-10:00)
2 実技            (10:00-12:00)
  *グループ別に実施
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
生活訓練専門職  鈴木 克子
生活訓練専門職  森 公士朗
7 屋内での環境認知の実際
1 講義             (13:00-14:00)
2 実技             (14:00-16:30)
  *グループ別に実施
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  指導部 生活訓練課
主任生活訓練専門職  渡邉 明夫
生活訓練専門職     三好 尉史
10日
(木)
8 眼疾患とロービジョン
(9:00-10:50)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  病院 眼科医長   石田 みさ子
9 視覚障害者の支援
 −支援を受ける立場から−
(11:00-12:00)
 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  理療教育部 教官  藤野 將昭
10 ロービジョンシミュレーション体験
1 講義             (13:00-14:00)
2 実技             (14:00-16:30)
  *グループ別に実施
  指導部 生活訓練課
生活訓練専門職  中西  勉
11日
(金)
11 視覚障害者の日常生活
1 講義              (9:00-10:30)
2 実技             (10:40-12:00)
 荒川区役所 障害福祉課
心身障害者相談支援係長  石黒 清子
昼食∧アイマスク∨
・全体討議と反省会
(13:00-13:30)
・閉講式
(13:30-13:50)