〔学院情報〕
平成16年度義肢装具士研修会(座位保持装置)
を終えて
執筆:学院義肢装具学科
教官 星野元訓


 去る9月6日(月)〜9日(木)の4日間にかけて義肢装具士養成棟を会場として 開催された義肢装具士研修会(座位保持装置)について報告いたします。
 この研修会は義肢装具士の知識と技術の向上を目的に開催されており、座位保持装置 については製作者の底辺拡大の目的から昨年度から始まり、本年度が2回目の開催と なりました。受講生は全国の義肢装具製作施設から7名の方が参加されました。
 本研修会は講義と実技からなり、講義においては座位保持装置の意義・目的などの 総論に加えて、座位姿勢を捉える上で最も根底となるバイオメカニクスから、使用者の 姿勢評価から機器の選択について、さらに、座位保持装置に用いられる高機能材料の 特性など、基礎から臨床上の問題点まで、一連の内容の講義が行われました。その講義の 中では症例に対して実際に製作された座位保持装置の画像や実物を多数用意して いただきました。加えて、材料学の講義では化学的な専門内容のため理解し難いことに 対して、実際に目の前での生成が行われ、また、車いすの講義では座位保持装置と 組み合わせて使用される様々な種類の試乗を行う等、各講義とも現物を見て、触れて、 実体験して理解を深めてもらうという講師の先生方からのご配慮がありました。
 実習においては日常座位保持装置を使用している方にモデルとしてお越しいただき、 臨床現場で製作されている代表的な一つであるウレタンチップ材を用いた座位保持装置を グループに分かれて製作しました。この製作には長時間に渡る根気のいる作業が必要と なりますが、残暑が厳しい中でも技術習得のために受講生の方々は皆真剣に取り組まれて おり、その熱意に応えるように一人一人に対して細部に至る技術指導がなされました。
 臨床における現状は障害が重度・複雑化しているなかで、座位保持装置に求められて いるニーズも高度化・多様化しており、それらに対応すべく今回の研修会で得られた 知識・技術を応用・発展させて、座位保持装置の品質向上につながることを期待しております。
 最後に、ご多忙の中、本研修会運営のためご協力いただきました外部・内部講師の 先生方に、厚く御礼申し上げます。


義肢装具士研修会(座位保持装置)の様子



平成16年度 義肢装具士研修会日程表


日付 午前 午後
9月
6日
(月曜)
開講式・オリエンテーション
(10:00〜10:30)
(1)講義 座位保持装置総論
(10:30〜12:15)
  -座位保持装置の種類と適応-
 横浜市総合リハビリテーションセンター
小池 純子
(2)講義 座位姿勢のバイオメカニクス
(13:15〜14:30)
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
廣瀬 秀行
(3)講義・実技  患者と座位の評価
(14:45〜15:45)
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
吉田 由美子
タカハシ補装具サービス 高橋功次
(4)講義 座位保持装置の機器選択と製作手順
(15:45〜17:00)
タカハシ補装具サービス 高橋功次
9月
7日
(火曜)
(5)講義・実技 シミュレーションによる採型法
採型実習
(9:00〜12:00)
 
ヤスダ・ブレース 安田富男
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
星野 元訓
(6)講義・実技 陽性モデル製作法
製作実習
(13:00〜18:00)
 
ヤスダ・ブレース 安田富男
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
星野 元訓
9月
8日
(水曜)
(7)講義・実技 座面製作方法
製作実習
(9:00〜12:00)
ヤスダ・ブレース 安田 富男
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
星野 元訓
(8)講義・実技 採寸モールドによる製作
(13:00〜16:00)
ヤスダ・ブレース 安田 富男
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
星野 元訓
(9)講義・実技 座位保持装置の適合学
(16:15〜18:00)
ヤスダ・ブレース 安田 富男
国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
星野 元訓
9月
9日
(木曜)
(10)講義 シーティングの症例検討
(9:00〜10:30)
国立身体障害者リハビリテーションセンター病院
岩崎 洋
(11)講義 車いすへの応用例
(10:45〜12:15)
   -移動システムとしての座位保持装置-
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
井上 剛伸
(12)シーティングの材料学
(13:15〜14:30)
国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
中村 隆
 
閉講式
(14:30〜15:00)