去る11月８日（月）から12日（金）までの５日間にわたって、当学院において盲ろう者通訳 ガイドヘルパー指導者研修会（後期）を開催しましたので、その概要を紹介します。
　今年度における本研修につきましては、本誌８月号で朗報したとおり、盲ろう者と係わりを もっている方を研修対象にしたプログラムを組み立て、特に、後期は実技・実習を例年以上に 充実させたカリキュラムとしました。
　具体的には、盲ろう者の手引き歩行の技術については、受講生が二人一組になって盲ろう者と 手引き者の役割を、電車とバスを利用しながら体験するという内容から、実技の時間を増やし、 エスカレーターや電車の乗り降りの練習を繰り返し、体験だけではない手引き技術の定着を 図りました。屋内での通訳実技や屋外の通訳ガイド実習では、受講生３人に一人の盲ろうの 講師をお呼びし、実際に通訳やガイドをする時間を増やすとともに、既に盲ろう者通訳 ガイドヘルパーとして活躍している数名の経験者が通訳中の受講生を観察・評価し、 フィードバックをするシステムをつくりました。また、「養成研修会のカリキュラムの立て方」 を新たに講義に加え、地域で研修会の企画を立て、技術を広めていく指導者としての受講生の 役割に応えたいと考えました。
　研修会を終え、受講生からは、地域での実践にすぐ役立つ内容だった、有意義で緊張の中にも 楽しみを感じながら受講できた、という感想を多くいただきました。複数の盲ろうの講師に お越しいただき、実際にコミュニケーションをする時間が今まで以上に増え、通訳技術の習熟を はかったことは、好評の一因と思われます。
　前・後期を合わせ10日間の研修会をたくさんの方々のご指導とご協力を得ながら無事に 終えることができましたことを心よりお礼申し上げます。
　また、受講生にとっては、仕事を休んで、10日間の研修会に参加することは、 難しい面もあるようですが、アンケートからはこの講義内容を消化するには必要だと思う、 というご意見が多く、期間・形式なども好評でした。「地域の研修会の参考にしたい」という 感想はとてもうれしく、来年度における本研修会の運営をより良くするためのエネルギーを 頂戴したように思います。
　最後に、受講生の皆様方が、それぞれの地域で、ますますご活躍されることを祈念いたします。