国立身体障害者リハビリテーションセンター創立25周年記念シンポジウム「運動器と再生医療;未分化細胞から運動器の細胞へ」開催報告
管理部総務課


 去る、11月13日(土)、全社協・灘尾ホールにおいて、国立身体障害者リハビリテーションセンター 創立25周年記念事業の一環として、シンポジウム「運動器と再生医療;未分化細胞から運動器の細胞へ」 が開催されました。
 近年、疾病や事故により損傷を受けた組織や機能を再生させたり、補填したりすることを 目指す新たな治療への期待が高まっており、従来、再生は不可能とされていた組織にあっても、 新たな治療法の可能性が期待され、その中心に再生医療があります。近年の再生医療の進歩には 目を見張るものがあり、臨床応用が可能となった暁には、従来の治療体系が一変するであろうことは 確実と思われます。
 そこで、昨年度の脊髄組織の再生を中心としたシンポジウム「組織再生と機能回復」に引き続き、 本年度も未分化細胞から運動器の細胞への分化誘導、立体構造の獲得というテーマで、 シンポジウム「運動器と再生医療」が開催されました。
 シンポジウムは、当センター研究所障害工学研究部の加藤部長、当センター岩谷更生訓練所長、 東京大学大学院の中村教授を座長として、この領域の最先端の研究者による発表がなされました。
 講演内容は次のとおりです。



創立25周年記念シンポジウム「運動器と再生医療;未分化細胞から運動器の細胞へ」の様子 その1 創立25周年記念シンポジウム「運動器と再生医療;未分化細胞から運動器の細胞へ」の様子 その2


○ 座  長 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
  障害工学研究部長  加  藤  誠  志
 セッションT:細胞の供給ソースと分化誘導
 1.細胞ソースとしての皮膚
        国立国際医療センター研究所
  細胞組織再生医学研究部長  大河内  仁  志
 2.幹細胞の未分化性維持機構
        慶応大学医学部発生分化生物学
  教 授  須  田  年  生
 3.骨・軟骨分化十分条件の決定と再生用細胞源の拡大
        東京大学大学院医学系研究科・医学部骨軟骨再生医療講座
  客員助教授  鄭     雄  一  

○ 座  長 国立身体障害者リハビリテーションセンター
  更生訓練所長  岩  谷     力  
 セッションU:分化誘導をもたらす遺伝子導入技術
 4.組織再生におけるアテロコラーゲン遺伝子医薬導入技術の応用
        国立がんセンター研究所
  がん転移研究室長  落  谷  孝  広  
 5.高分子ナノミセルによる遺伝子デリバリー
        東京大学大学院工学系研究科・工学部マテリアル工学専攻
  教 授  片  岡  一  則 

○ 座  長 東京大学大学院医学系研究科・医学部
        感覚運動機能医学講座
  教 授  中  村  耕  三  
 セッションV:分化増殖させた細胞の立体構造の確保
 6.細胞シート工学による組織再構築
        東京女子医科大学医学部
  先端生命医科学研究所講師  清  水  達  也  
 7.骨髄由来間葉系幹細胞を用いた骨・軟骨の3次元構築
        産業技術総合研究所つくば中央第六事業所
         年齢軸生命工学研究センター・エージディメンジョンチーム長
  植  村  壽  公
 8.再生培養骨を用いた骨疾患治療(3次元立体構造を有するin Vitro 骨構築)
        産業技術総合研究所関西センター尼崎事業所セルエンジニアリング研究部門
  組織・再生工学研究グループ長  大  串     始
 9.運動機能系組織再生のための生体材料
        物質・材料研究機構
  生体材料研究センター長  田  中  順  三

 当日は、医師、研究者及び障害者のリハビリテーションに携わる関係者が聴講され、 各シンポジストの先生の発表毎に質疑応答が行われ、セッション毎の活発なディスカッションが 繰り広げられるなど、熱気を帯びたシンポジウムとなりました。