〔更生訓練所情報〕 |
第13回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師国家試験を終えて 〜 去りゆく若き友よ、67歳の挑戦 〜 |
理療教育部 太田浩之 |
第13回標記国家試験が去る平成17年2月26日、27日の両日、当センターを埼玉県会場
として実施されました。両日とも穏やかな天候に恵まれるなか、更生訓練所理療教育
課程入所者は、26日のあん摩マッサージ指圧試験に38人、27日のはり師、きゅう師試
験にそれぞれ25人(延べ人数)が無事に受験を終えることができました。
とても残念なことですが、今年2月初め、この国家試験を直前に病気により急逝した
一人の入所者がありました。まだ30歳の若さです。教室の彼の机の上には写真が置か
れ、級友の手によって小さな花瓶に挿された花が卒業式まで供えてありました。その
突然の死に驚きを隠しきれなかった年長の級友達の何人かが国家試験を前に、「亡く
なった彼のためにも頑張ります。」と勇ましい言葉を口にしてくれたことを嬉しく受
けとめました。
また、今年度の当センター最高齢の受験生は、専門課程を卒業した67歳の井山さんで
す(写真参照)。全盲という視覚障害に加え、67歳という年齢にも負けずに勉強を続
ける姿には多くのことを学びました。
廊下で挨拶するとき、いつも大きな声で挨拶を返してくれたことを覚えています。お
そらく月に一度か二度と決め、週末に気の合う級友らと飲食に外出してはきちんと門
限を守って寮に帰ってくる姿を当直をしながら幾度となく見かけました。その時の楽
しそうな表情に、“節度”という言葉を思わずにいられません。「節度を守るときに
楽しみは数倍になる。人が節度をわきまえるとき、それは子孫への最大の教訓となる」
(デモクリトス)。私達日本人が忘れかけている祖国の美徳の一端にも思えます。
当センターの過去12回の国家試験合格者は60歳代半ばまでです。井山さんが国家試験
に合格すると新しい記録とその喜びをもたらしてくれることでしょう。
なお、第13回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師試験の全国の受験状況に
ついては、昨年の第12回試験に比べ、あん摩マッサージ指圧師試験で48人減の2,061人、
はり師試験で535人増の4,303人、きゅう師試験は549人増の4,303人であることが先日、
東洋療法研修試験財団から報告されています。
この国家試験の合格発表は平成17年3月28日14時から厚生労働省で行われる他、同省ホ
ームページでも速報版として掲載されることになっております。
国家試験に取り組む井山さん(写真手前)