〔国際協力情報〕
チリ身体障害者リハビリテーション
プロジェクトの終了に当たって
管理部企画課



 当センターはJICA(国際協力機構)のチリ身体障害者 リハビリテーションプロジェクト(2000年7月〜2005年 7月)に技術協力を行ってまいりましたが、この7月を もって、5年間の協力期限を終えました。

向かって左から在チリ日本国大使、東部首都圏衛生局長、チリ厚生大臣、INRPAC病院長、JICAスタッフ等
チリプロジェクト終了式典にて
(向かって左から在チリ日本国大使、東部首都圏衛生局長、チリ厚生大臣、INRPAC病院長、JICAスタッフ等)

 このプロジェクトは、南米チリ共和国(以下「チリ」 という。)の首都サンティアゴにあるペドロ・アギーレ ・セルダリハビリテーションインスティチュート(INRP AC)という国立で唯一の小児を中心としたリハビリテー ション病院を舞台に、リハビリテーションサービスの向 上と利用者の社会参加の促進を目的とした技術協力の要 請に応えて開始されました。このプロジェクトは単に一 施設の技術改善のみでなく、チリ全体の小児リハビリテ ーションの促進を目指すべく、チリの厚生省、首都圏東 部衛生局の身体障害者政策の一環として実施されました。

 本プロジェクトが達成すべき具体的な目標は、次の7 項目でした。
(1)リハビリテーション診断、評価、治療の臨床手技の改善
(2)リハビリテーションケアシステムの改善
(3)地域リハビリテーションシステムの展開
(4)臨床データベースの開発
(5)臨床研究の促進
(6)リハビリテーション分野の人材育成能力の向上
(7)利用者とのコミュニケーションの促進


 この中で、「地域リハビリテーションシステムの展開 」は、2000年7月に当時の中村笈齣穀キと矢野英雄学院 長が現地において調印した暫定実施計画には含まれてお りませんでしたが、地域基礎調査が武井秀夫先生のグル ープによって当初から行われており、プロジェクト活動 を進める中でその必要性が認識され、佐藤A太郎現総長 が出席した中間評価において正式な目標に加えられまし た。
 これらの課題に協力するために、JICAに国内支援委員 会が置かれ、当センター総長が委員長となり、心身障害 児総合医療療育センター、北九州市立総合療育センター 等の小児専門のリハビリテーション機関から専門家が委 員としてプロジェクトの支援体制を作り、進めていきま した。この5年間に延べ41名の日本人短期専門家の派遣 、19名のチリ側の専門職の研修受入を行い、その受け入 れに際しては、上記センターのほか、大阪府身体障害者 福祉センター、ボバース記念病院、沖縄小児発達センタ ー、東大和療育センター等においては、臨床研究の貴重 な資料の提供や、専門職員の講義、また小児に不可欠な 家族活動への参加等の機会を研修員に提供していただき 、また、多くの専門家の現地への派遣など、各センター の協力がなければこのプロジェクトは成し得ませんでし た。
 この間、現地チリでは岩谷力更生訓練所長も出席して 国際セミナーも開催され、日智間だけでなく、南米周辺 国も参加しての議論が行われました。
 1999年に覚書の調印式に出席されたJICAの橋爪章技術 審議役と長岡正範医療相談開発部長(当時)が、本年4 月にプロジェクト成果の最終評価のため、再び現地に赴 かれましたが、ほとんどの目標項目において達成度が高 く、今後の自立発展性もあると評価されています。
 なお、INRPACは小児リハビリテーションの単独施設で あり、老朽化していることから、総合病院に隣接してす でに確保されている用地への移転計画が早期に実現する ことが強く望まれており、プロジェクト初期に最初から 関わられたGarcia(ガルシア)東部衛生局長は現在大臣 になっていることからも、その実現が期待されます。
 最後に、チリの研修員が来ると毎日職員と交わされた 挨拶で締めくくります。
“Hola !”(オラ)



INRPAC職員からのメッセージ<BR>
(日本の皆様へ感謝を込めて、ご健康とご多幸をお祈りいたします。)
INRPAC職員からのメッセージ
(日本の皆様へ感謝を込めて、ご健康とご多幸をお祈りいたします。)