〔卒業生訪問シリーズ〕
突撃取材班レポート
〜当センター学院視覚障害学科卒業生
の就職先を訪問〜
管理部企画課



 平成17年3月に当センター学院視覚障害学科を卒業し、東京都日野市旭が丘 にある社会福祉法人東京光の家に4月から勤めている保立愛さんを訪問しまし た。社会福祉法人東京光の家は光の家新生園(更生部)、光の家栄光園(授産 部)、光の家神愛園(救護部)及び光の家鍼灸マッサージホーム(盲人ホーム 部)からできています。
 光の家新生園は、身体障害者福祉法による重度身体障害者更生援護施設で、 視覚障害と他の障害を併せ持つ重度の盲重複障害者を対象とし、更生に必要な 治療と訓練を行うことを目的としています。
 光の家栄光園は身体障害者福祉法による重度身体障害者授産施設で、雇用さ れることの困難な視覚障害者を対象とし、必要な訓練を行い、かつ職業を提供 することにより自立を図ることを目的としています。
 光の家神愛園は生活保護法による救護施設で、主として視覚障害者を対象と し、生活扶助を行うとともに社会人として生活できるように援助することを目 的としています。
 光の家鍼灸マッサージホームは身体障害者福祉法による盲人ホームで、あん ま師・はり師等の免許を有し、かつ自営し又は雇用されることの困難な視覚障 害者を対象とし、施設を提供するとともに必要な技術の指導を行い、利用者の 自立を図ることを目的としています。
 保立さんは現在、光の家新生園の指導課生活指導係として園生さんの食事、 入浴、掃除等、生活場面の支援をする仕事に従事しています。園長である田中 さんに様子をお伺いしたところ、保立さんの活躍ぶりに感心されているとのこ とでした。そんな保立さんとの問答の一部を次に紹介します。

(写真)東京光の家新生園
東京光の家新生園


Q1 センター学院には5学科あるわけですが、学院視覚障害学科に入学したきっかけは何ですか。また、福祉の世界に携わろうとしたきっかけは何ですか。

 大学を卒業して一般企業に就職しましたが、働いているうちに、子供の頃からの夢であった盲導犬訓練士を目指したいという気持ちが強くなってきました。長年、訓練士になりたいという思いはありましたが、就職した後、一生の仕事として一体自分は何をやりたいのか、自問自答するようになりました。そこで夢を追う道を選んでから、まずは視覚障害者のことを学ぶ必要性があると思い、出会ったのが学院の視覚障害学科です。
 福祉の業界に興味をもったのは母親の影響が強いですね。母がホームヘルパーをしていて、その姿を子供の頃から身近に見ていました。そんな母親の姿を見て育ってきたので、母親が生き生きと働いていた福祉の世界で働きたいと思いました。

Q2 センター学院で学ばれたわけですが、2年間を振り返ってみてどうでしたか。また一番印象に残っていること、一番厳しかった教官は誰ですか。

 学院での2年間は、人生で一番勉強をした時間です!一番印象に残っているのは歩行訓練です。真夏の暑い日も、真冬の寒い日も、雨が降ろうと雪が降ろうと二人一組になって歩行訓練に励んだことが一番の思い出です。一年間を通して歩いたので、実際に視覚に障害のある方が外出する際の気持ちを、身を持って学ぶことができました。
 一番厳しかった教官は担任の佐藤教官です。教室でもお酒の席でも(笑)厳しいと言ってもいい意味での厳しさです。私達を伸ばしてくれる厳しさであり、佐藤教官にはとても感謝しています。学院を離れ社会人となった今、それを痛感しているところです。

Q3 学生時代と社会人で一番違うことは何ですか。

 当然ですが、働いて給料を頂くということが、学生時代との一番の大きな違いだと思います。園生さんと接することで給料を頂いているので、相応の仕事をしなくては、と自分に言い聞かせています。学生の頃よりずっしりと重い責任を感じますね。

Q4 今の職場を選んだ理由は何ですか。

 仕事にやりがいを感じたからです。光の家は、盲重複に関して長い歴史を持っています(大正8年4月1日創立、現在創立85周年)。視覚障害に加えて精神障害、知的障害、肢体不自由を抱えている園生がほとんどなので、支援の仕方も当然のことながら1人1人変わってきます。重複障害であるがゆえの難しさもありますが、そこに工夫のし甲斐もあると思い、この職場を選びました。

Q5 現在はどのような仕事をしていますか。また、勤めて半年が経ちますが失敗などはありますか。

 私が働いている新生園は、指導課と訓練課にわかれていて、私は指導課の生活指導というセクションにいます。仕事内容は、園生さんの生活に関すること全般です。食事から、入浴、掃除、洗濯等、訓練以外の生活場面の支援になります。私たちが家に帰ってからの生活があるよう、当然園生さんにもあります。1人1人が訓練に打ち込めるようにサポートするのが私の仕事です。
 また、幸いなことに今のところ大きなミスはしていません・・・たぶん(笑)

Q6 職場は楽しいですか。

 職場は楽しいです。半年経って、ようやくやるべき仕事がわかってきたから、というのもあります。慣れてきたというのもありますが、ある程度気持ちに余裕がでてきて、心から楽しいと思えるようになりました。先輩方には、国リハを卒業した方も多くて、悩み事もすぐに相談できる環境にあります。また、生活指導はベテランの方が多く、いつも良いアドバイスをしていただいており、日々感謝しています。

Q7 どんな時にやりがいを感じますか。

 園生さんと接している時が一番やりがいを感じます。仕事はデスクワークもありますが、やはり園生さんの笑顔を見ることができた時が、一番幸せですね。

Q8 障害のある方に接するとき、一番気をつけていることはなんですか。

 視覚に障害のある方なら、声を大きくはっきりと話す、指示語を使わないなどでしょうか。光の家の場合、てんかんを持つ園生さんもいるので、発作等には気を遣います。しかし、それ以外で障害があるからと言って、特に気を遣って接することはありません。学院時代に、障害のある方と多く接してきたこともありますが、特に障害の有無を意識し過ぎる事なく、自然体で接しています。

Q9 これから学院視覚障害学科に入学されようとしている方々に学院視覚障害学科のアピールをお願いします。

 やはり学院の良いところは5学科(言語聴覚学科、義肢装具学科、視覚障害学科、手話通訳学科、リハビリテーション体育学科)が揃っているところです。視覚障害を学びながらも、他学科の影響で、他の障害の事にも目が向く。また、他の障害で分からないことがあれば、すぐに他学科の学生や教官に聞きに行くことが出来る・・・国リハ学院はとてもお勧めです!


(写真)事務室にて(中央が保立さん)
事務室にて(中央が保立さん)
(写真)保立さんと園生
保立さんと園生