〔更生訓練所情報〕
センターHP内「短歌クラブWebページ」誕生
短歌クラブ顧問 太田 浩之(理療教育部)



はじめに
 この度、関係職員のご尽力により、より柔軟なWebによる情報発信が可能と なったのを機に、旧国立東京光明寮以来の伝統を持つ、当センター更生訓練所 入所者が運営する短歌クラブのWebページを創設しましたので、ご紹介します。
 なお、短歌クラブは、これまで同様、更生訓練所理療教育課程の入所者を中 心に現在も運営されております。短歌クラブWebページのURLは、当センターホ ームページ内、以下のとおりです。
http://www.rehab.go.jp/TrainingCenter/tankaclub/index.html

短歌クラブWebページの概要
イ)トップページには、簡単な短歌クラブの紹介と短歌21世紀を主宰する講師 の大河原惇行先生のご紹介があります。
ロ)短歌クラブの活動成果は、リハ並木祭に向けて歌集「いぶき」として毎年 一回、発表されてきました。この歌集「いぶき」に掲載された短歌の一部を各 号のリンクとして、平成8年度第17号から今年度第26号まで十年分を掲載しま した。
ハ)歌集「いぶき」のうち最近号については、リハ並木祭当日に展示した短歌 がそのままのデザインでPDFファイルとしてご覧になれます。
ニ)入所者、卒業生のプライバシーを考慮し、作者名は姓を省略して名のみを 表示しました。
ホ)スクリーンリーダを用いた視覚障害者のアクセスを考慮し、必要なファイ ル仕様、簡明なWebデザインに統一しました。
 また、「いぶき」の過去の号を含め、今後とも各コンテンツの充実を図る予 定です。

短歌クラブWebページの意義
 この短歌クラブWebページの意義、役割を次の三つの側面からとらえること ができます。
 (1)入所者相互の時空を超えた連帯感の醸成
  同じ教室やこのセンターでともに学びながら、言葉にする機会の少ないそ れぞれの心情を理解し合うことで、益々の入所者相互の共感や連帯感を創り出 すことに役立ちます。
 (2)卒業後の振り返るべき原点として
  入所者の卒業後の日々において、自らの出発点、原点を立ち返り確認する ことができます。そこには懐かしい級友だけでなく、おそらく短歌でしか出逢 うことはない遠い先輩や後輩達がいることに気づくことができます。
 (3)当センターホームページにおける役割
  当センターホームページにある写真や他の文書が多くの情報を提供しても、 なお伝えることの難しい入所者の心情の動きがこの短歌には表現されます。人 生半ばで視力をなくした日々の思い、障害を持つまでの記憶や大切な思い出、 学業や訓練の苦しみとまた喜び、同じく目を病む友らとの出逢いと語らいのと き、受傷者あるいは患者からひとりの医療人への成長の過程、社会復帰への不 安と確信、父母や子に寄せる思い、等々。
 短歌クラブWebページは、これらの歌によって、当センターホームページの重 要な位置を占めることができるでしょう。何よりも、これらの歌それぞれが将 来の入所者の心に響く貴重なメッセージになることを願ってやみません。

「いぶき」の出発点
 昭和37年、旧国立東京光明寮において「短歌俳句作品集『いぶき』」が創刊 されたとき、その序文となった文章を転載します。ここから創刊時の「いぶき」 に込められた思いが伝わります。
 「眼に光はなくとも、心に光を持つように、私たちはうつそみに自由はなく とも、心に自由をもっている。恣に悲しみ、留処もなくときめき、涯しなく希 いつづける自由を持っている。そして、それを短詩型に書いたとき、その言葉 がどのように舌足らずであっても、私たちの自由な呼吸である限り、大きなよ ろこびなのである。こうした作品はまた、将来、私たちが散りぢりになったと き、お互いの胸に通い合う暖かな息吹ともなることであろう。
 その日のために、この些やかな一集を残したいと思う。

   眼ぞこに咲く花ばなが輝けば
     我らは明日に生きゆかんとす」

最後に
 平成3年4月、国立函館視力障害センターからこの国リハに転勤した際、松 本尚之指導課長からは短歌クラブ顧問の依頼を、また、直属の上司であった管 一十主任教官(役職はいずれも当時)からは、その頃、先生が精力的に取り組 まれていたコンピュータ関連業務を手伝うよう、指示をお受けしました。それ ぞれの業務が当時はほとんど未知の分野でありながら、現在の自分の主要な業 務の一つとなっていることを申し添えて、この拙稿とともに、今は退職されこ の職場を離れた両先輩への謝意に代えることができれば、筆者の喜びでもあり ます。


(写真)短歌クラブWebページ(トップ)
短歌クラブWebページ(トップ)