〔ワンポイントマッサージシリーズ4〕
東洋の経験と知恵を活かして
健やかな毎日を
理療教育部主任教官 柳澤 春樹



4 「肩こり」(その2)
 前回、多くの人が感じる不快な肩こりを改善させるためのマッサージを紹介 しました。しかし肩こり解消には適切な運動が欠かせません。そこで今回は簡 単なストレッチング(伸張法)をご紹介します。東洋の各地で行なわれている 健康法の中にも沢山のストレッチングが取り入れられています。それには正し い呼吸法も重視されています。
 今回ご紹介するものは病院などでも使用されているセルフストレッチング( 自分でできるストレッチング)の方法の一種です。
 まず実施前に次のことに気をつけてください。
(1)全身をリラックスさせ、余分な力は入れない。(2)衣服などが動きを妨げない ように注意する。(3)痛みを感じたらすぐに中止して、正しい方法にする。(4)意 識を集中し、ゆっくりと10秒程度力を加え、その後ゆっくりと力を抜いていく。 (5)ストレッチの最中に普通に呼吸を続け、呼吸を止めてはならない。(6)各自の 状態に合わせ、決して強すぎる力を加えたり、急に力を入れたり抜いたりして はいけない。
 次に実際の方法をご紹介します。ストレッチングの最中には普通に「いーち 、にーい、さーん、しーい、・・・・、じゅーう」と発声しながら行なうとう まくできるでしょう
 次に行なうものは肩幅に足を開いて立つか、椅子に座って行うことができま す。



(図)肩甲骨周辺の多くの軟部組織(筋肉や血管など)のストレッチング

(1) 肩甲骨周辺の多くの軟部組織
 (筋肉や血管など)のストレッチング

 まず左手を挙上し肘を曲げ、手が背中に落ちるようにします。その位置で右手で左の肘をつかみ、ゆっくりと右側に引き、約10秒間保持し、その後そっと手を離し、肘をゆっくり伸ばしてから下におろします。次に右手も同様に行ないます。
 これは、肩こりの予防や解消法としてよく用いられるものですが、五十肩などで肩関節痛や機能障害がある場合には行なってはいけません。


(図)肩や胸の上方や肩関節の上部や前外方の軟部組織(筋肉や血管など)のストレッチング

(2) 肩や胸の上方や肩関節の上部や前外方の
 軟部組織のストレッチング

 両手をゆっくりと下垂し、体の後で左手首を右手でつかみ、徐々に右下後方に引き、約10秒後力を抜きます。反対側も同様に行ないます。


(図)肩甲骨の内側の筋群と肩関節後部の軟部組織(筋肉や血管など)のストレッチング(正面から)
(図)肩甲骨の内側の筋群と肩関節後部の軟部組織(筋肉や血管など)のストレッチング(上から)

(3) 肩甲骨の内側の筋群と肩関節後部の
 軟部組織のストレッチング

 左手を90°前方に上げて、内側水平の方向に移動させ、右手で肘を右後方に引きます。図のようにちょうど赤ちゃんを抱っこしているようにすると楽に腕を支えることができます。反対側も同様に行ないます。
 90°はきつすぎると思うときはもう少し下にしてもかまいません。



 ストレッチングでよく痛みを出してしまうのは以前のラジオ体操のように反 動をつけて「いっち、にっ、さんっ、しっ」と動かしたり、10秒後にきついの で急に手を離してしまったときなのです。最後まで油断しないで快適なストレ ッチングとともにマッサージを続けてください。
 肩こりは何よりも予防が大切です。心身の健康が何よりなのです。そして頚 や肩甲骨周辺の筋肉を柔らかく保ち、強くしておくことも忘れないでください。