〔研究所情報〕
Lokomatの導入について
研究所 運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室長 中澤 公孝



 去る平成17年10月3日、当センター病院理学療法室にロボット型歩行訓練機 Lokomatが導入されました。Lokomatは脊髄損傷や脳卒中のため歩くのが困難に なった方の歩行を回復させるためのトレーニング機です。Lokomatを用いたト レーニングは免荷式歩行トレーニングといって従来の歩行トレーニングに比べ て優れた効果があるとされています。免荷式歩行トレーニングについては、こ の国リハニュースでも何回か紹介してきましたが、本稿でももう一度簡単に説 明しておこうと思います。免荷式歩行トレーニングでは通常、トレッドミル上 で写真3にありますように訓練者の体を上方に引き上げて、体重を半分ぐらい 軽減します。その状態でトレッドミルのベルトスピードにあわせて、人間また はLokomatのような機械が足を交互にステッピングさせます。そのようにして 望ましい歩き方を半ば強制的に行い、脊髄や脳などの神経系に歩き方を再学習 させるのです。Lokomatが開発されるまで、このトレーニングにはステッピング を補助するために最低でも二人の人手が必要でした。さらには、このステッピ ングの補助というのがかなりの重労働でした。しかし、Lokomatの登場によって これらの問題は解決されたのです。Lokomatはコンピューターによって動きが制 御される動力型装具が装備されており、これが歩行時の下肢の動きを再現しま す。そのためこれを訓練者の下肢に装着するだけで、あとは人間の力を一切必 要としません。当然ですが、人間のように疲れることもないので長時間のトレ ーニングも可能となりました。人間の手では数分間しかできなかったことから 比べると格段の進歩といえます。
 LokomatはスイスのHocoma社が開発し、現在主に欧米を中心に全世界で70機 以上の販売実績があるそうです。日本では本機が第一号となります。当センタ ーではこれからLokomatを用いた歩行トレーニングが身体機能上どのような変 化をもたらすのか詳細に及ぶ検査を行い、実際のリハビリテーションに効果的 に役立てるための基礎的なデータを収集する予定です。


(写真)Lokomat(ロボット型歩行訓練機)
写真1 Lokomat(ロボット型歩行訓練機)



(写真)Lokomat搬入の様子
写真2 Lokomat搬入の様子



(写真)Lokomatを用いた基礎実験の様子
写真3 Lokomatを用いた基礎実験の様子