〔寄稿〕 |
国立身体障害者リハビリテーション センターの見学 |
CIAJ UDWG所属 (株)NECデザイン ソリューションデザイングループ UDセンター 太田 知見 |
2005年12月13日(火)、国立身体障害者リハビリテーションセンターを見学
させていただきました。参加メンバーは私を含めた12名で、情報通信ネットワ
ーク産業協会(CIAJ:http://www.ciaj.or.jp/)のデザイン委員会にあるユニ
バーサルデザインワーキンググループ(UDWG:http://www.ciaj.or.jp/contents_ja/design2/)
に所属しています。UDWGでは、より多くの方に使っていただける製品作りを意
味した「ユニバーサルデザイン」をキーワードとして、調査研究などを通した
啓発やガイドライン作りなどを行っています。メンバーは、全員電子機器メー
カーのデザイナーですが、それぞれが異なるメーカーに所属しています。今回
は、研究開発事例のユーザインターフェースデザインなど、参加各社のデザイ
ナーが自社製品のユニバーサルデザインを実施していくうえで、今後の参考に
していこうと企画いたしました。
今回の見学で見せていただいたのは、病院、更生訓練所及び研究所です。最
初に見学した病院では、各種リハビリテーションにおける取り組みをご紹介い
ただきました。訓練用の機器や自助具には初めて見るものが多く、興味深く拝
見させていただきました。特にパネルでご紹介いただいた自助具には様々な工
夫があるように思えたので、またの機会があったときには実際の使い方など見
せていただければと思います。
次に見学した更生訓練所では、主に一般リハビリテーション課程を中心とし
て職能訓練の様子などを見せていただきました。施設は、視覚や聴覚、身体な
ど様々な障害のある方々が一緒に使われる場所ということで、細かな配慮がさ
れており勉強になりました。色分けされたエリア、大きなサインや回転灯、(
パトライト:聴覚に障害のある人に対しての情報手段)廊下の角に付けられた
細長いクッション、スライド式に統一されたドアなど、徹底したバリアフリー
が図られており、それらが我々にとっても使いやすく分かりやすいものとして
感じられたことが印象に残っています。
最後に見学した研究所では、補装具製作部の義足・義手などの展示品を見せ
ていただくとともに、4つの研究部と福祉機器開発部の方々にそれぞれの研究
内容についてご説明いただきました。また、事前にWebサイトを拝見して興味
深かったので、特に障害工学研究部と福祉機器開発部の方には、特別に多くの
時間を割いてご説明いただき、また意見交換会もさせていただきました。その
中で、我々のように一般消費者を対象とした製品開発に携わりながらユニバー
サルデザインに取り組んでいる者と、日々障害のある方々を対象とした物作り
に取り組まれている研究所の皆様との接点が、もっと多くあるべきではないか
と思いました。それは具体的な事例をたくさん知ることが、ユニバーサルデザ
インを行う上でとても大切なヒントとなり、重要なデザイン活動になると考え
るからです。
今回の見学では、お陰さまで予想以上に多くの刺激を得ることができました
。この刺激をひとつのきっかけとして、より多くの方々に使っていただける製
品開発に役立てていけるよう努力して参りたいと思います。
最後に、見学当日の日程とスケジュールを調整いただき、効率よくご説明し
て下さった企画課及び研究所職員の皆さまに改めてお礼を申し上げます。