〔ワンポイントマッサージシリーズ5〕
東洋の経験と知恵を活かして
健やかな毎日を
理療教育部 主任教官 柳澤 春樹



5 「五十肩」
  肩こりとは異なり、肩関節の痛みと運動制限を起こす代表的なものにいわ ゆる「五十肩」があります。中年代の発症が多く、いつの間にか肩が痛くなり 、ひどいときには夜も眠れず、ちょっとした腕の動きでも飛び上がるほどの痛 みで苦しいものです。運動制限のために衣服の着脱にも苦労してしまいます。 普通、次第に痛みは軽快してくるのですが、また痛くなりしつこいものです。 急性期には安静が必要ですが、いつまでも動かさないでいることで、かえって 症状を悪化させたり、永続的な運動制限を起こしたりすることもあるのです。 そして、これが原因で肩こりや首の痛みなどを引き起こしたりもするのです。
  肩の痛みと機能障害を起こす原因には様々なものがあり、中には手術的な 治療をしなければならないものもありますので、原因が明らかで激しい症状の あるような場合には必ず専門医を訪れて、勝手に自己判断をしてはいけません。



(1) 椅子に座って行ないます。鎖骨の外後側で肩先の骨(肩峰)との間の 角に中指を当てて強く押しながら腕を動かします。1、2、3と息を吐きなが ら力を加えて真っ直ぐに押しつつ、肘を直角に曲げた腕を外側に動かします。 4、5、6で息を吸いながら元に戻します。5、6回行なったら反対側にも行 ないます。 (巨骨「ここつ」)


(写真)(巨骨「ここつ」


(2) やはり座ったままで行なえます。肩関節の前で腕を前に上げたときに くぼみのできるところに反対側の4本の指(人差指から小指)を図のように広 く当てて1、2、3、4、5と肘で大きくリズムを取るようにして押しながら 揉みほぐすようにします。5、6回くりかえしたら反対側にも行ないます。強 さは気持ちのいい程度です。 (肩ぐう「けんぐう」)


(写真)「けんぐう」


(3) 座ったままで行なえます。肩関節の後側で腋窩のしわの少しうえで肩 関節の下に中指を当て、1、2、3で息を吐きながら力を入れて小さく回すよ うに揉みます。4、5、6で息を吸いながら力を抜きます。5、6回くりかえ したら反対側にも行ないます。
(肩貞「けんてい」)


(写真)肩貞「けんてい」

  五十肩には運動療法も欠かせません。アイロンのようなものを持って腕を無理なく振るようにする「アイロン体操」や両手で適当な棒(ほうきのようなもの)を持って肩を動かす「棒体操」などをできればリハビリテーションの専門家の指導を受けてから行なってください。また、入浴など肩を温めるのも効果的です。このほかに、このシリーズ3の「肩こり」でご紹介した方法を一緒に行なうのもよいでしょう。
  糖尿病などがあると両肩が痛くて動かしにくくなることもありますので、常に健康でいられるように努めましょう。