〔更生訓練所情報〕
自動車運転訓練用の自動車の更新
職能部自動車訓練室



 自動車訓練室では、更生訓練所利用者、病院入院患者の方々にリハビリテーションの一 環として、普通自動車の運転訓練を実施しています。また、平成17年6月1日から、運転 免許取得後に障害が発生した方、取得後に障害の状態が変わった方など、肢体不自由の方 で通所できる方にも自動車の運転訓練を始めました。
 更新した自動車は、本田技研工業製のシビック1800ccで、両上肢だけで運転できるよう に手動アクセル・ブレーキ装置と旋回装置を取付けてあります。走行中に下肢の痙性によ って既存のアクセルペダルとブレーキペダルを誤操作しないように、アクセルペダルの手 前に遮蔽版、ブレーキペダルは跳ね上げ式にしました。
 当室の運転訓練の特徴としては、教習所で行われている一般的な運転課題の他に、将来 の運転能力を高める目的で乾燥路面での急制動、滑りやすい路面での急制動、緊急回避操 作の訓練を行っています。そのため、アンチロック・ブレーキ・システムの動作を制御で きるスイッチの増設、また、両下肢に障害がある方の運転姿勢の安定性と乗降性を確保し 、さらに失禁対応性にも優れた身体障害者用の運転座席を取付けました。


 
  (写真)自動車運転訓練用の自動車の運転席  


 現在市販されている自動車は、基本的には障害のない方の運動能力を基準に設計し生産 されているため、障害内容に合わせて自動車の一部の部品を交換する方法が一般的に行わ れてきました。
 しかし、近年の自動車は走行中の安全性を確保することを目的に、あらゆる運転装置が コンピュータで制御されているため、従来のように一部の部品を交換することが困難にな っています。また、製造物責任法(PL法)が施行され、その主旨が自動車メーカーに根付 いていることから自動車の改造が難しいのが現状です。ですから、市販されている自動車 の特徴を理解して、できるだけ障害内容に適合する自動車を選択する必要があります。
 このため、更新した自動車を使った運転訓練を通して、自動車と運転補助装置の選択を 重点的に支援し、身体に障害がある方の自動車運転中の安全性と快適性を満たせるように 最大限活用する所存です。

 
  (写真)自動車運転訓練用の自動車