〔福祉用具紹介シリーズ3〕
ワンタッチボタン付け
指導部生活訓練課



 今回は、シャツのボタン等を針や糸を使わなくても、簡単に取り付けることができる、「ワンタッチボタン付け」を紹介します。
 ボタン付けをする際には、針に糸を通すことやボタンの穴に均等に糸を通して縫いつけていくといったことが必要になりますが、視覚障害者にとっては、保有視力や裁縫の経験などによっても異なるのですが、なかなか難しい課題でもあります。針に糸を通す方法としては、針の頭に穴ではなく、糸を差し込める切れ目のついた「セルフ針」や、糸と針をセットして、レバーを押すことで糸が通せる「糸通し器」などがありますが、ボタンの穴(2つ穴、4つ穴等)に順番に均等に糸をかがっていくことが必要となります。
 ここで紹介する「ワンタッチボタン付け」は、簡単に言うと、ホチキスでボタンを留めるような感覚で、ボタン付けが行えます。
 本体は全長12cmほどの長さのもので、先端に2本の針が付いています。ナイロン製の専用アタッチャー(ボタンを留める糸に代わるもの)を針の手前に装着して、本体の針をボタンの穴に入れます。シャツなどのボタンを取り付けたい位置に、ボタンを通した針を差し込み、裏側から布押さえ器でボタンを押さえながら、本体のレバーを前方に押し出すことで、アタッチャーがホチキスの針のような役目をして、ボタンが固定される仕組みになっています。
 2つ穴のボタンであれば、1回でボタンが付けられますし、4つ穴であれば2回繰り返すことで、ボタン付けができるわけです。実際に取り付けてみますと、かなりしっかりと固定されており、十分な強度があります。ボタン付けの他にも、カーテンや布にタックやプリーツをつけることや、鞄、帽子、スポーツ用品等にパッチをつけることにも使えます。また、応急処置として、ズボンやポケット、クッションカバーなどの破れを留めることにも活用できます。視覚障害者にとっては、衣類の柄や色を識別するために、シャツの首のタックの部分や、ズボン、靴下等に、小さなビーズやボタンを糸で留めたりする「印」をつけることで、識別しやすくすることがありますが、このボタン付を使って、印付けなども簡単に行えると思われます。
 糸の代わりとなるナイロン製の「アタッチャー」は、通常の洗濯やドライクリーニングにも特に問題はありませんが、アイロン等による直接高熱が当たることは避ける必要があります。
 この「ワンタッチボタン付け」は、本体の他、アタッチャー40本(1本で3回使用可能:120回分)、布押し器、シャツにつけられるようなボタン20個がセットになっています。アタッチャーは当然買い足すことが可能で、20本(60回分)200円で購入可能です。視覚障害者でなくとも、出がけに急にボタンが取れたときなど、便利に使えるのではないでしょうか。


(写真)使用例 (写真)ワンタッチボタン付け