〔更生訓練所情報〕 |
食事・調理訓練から自立をサポート |
栄養管理室長 繁田 文子 |
朝食まで、まだ時間があるというのに、体育館ほどの広さを持つ食堂に朝食を待ちわびる列が出来ています。
早くから食事をお待ちいただいているということに調理師と共に感謝しつつ、今日も一日良い日でありますように
という想いをこめて、朝食を提供させていただいております。
栄養管理室の一日の業務の始まりは利用者に朝食を提供することですが、それは同時に利用者の体調を確認する
ことでもあります。
いつも元気に「おはよう」と声をかけてくる利用者に元気がないと、今日は体調が悪いのかなと気になります。
いつも早くから待ち続けていただいている利用者の姿が見えないと寝坊したのかなと心配になり、居室まで声をか
けにいったこともあります。栄養管理室では一日の始まり、とりわけ食事をとることの大切さを利用者に促してお
ります。
食事をとるとは、生きるそのものです。
「食べる」ということは他の生き物の「命」をいただき、命によって私達は元気をいただいています。貴重な一
食について、私は考えてほしいと思っております。
また、栄養管理室では利用者が家庭等において、より充実した生活が送れるよう、自立訓練の一つとして調理訓
練を実施しています。利用者と調理方法などの技術的な指導や、栄養のバランス面についてアドバイスを行ってお
ります。
写真は先日、脳血管障害による右上下肢機能障害のある方の調理訓練の様子です。受傷後の調理経験はありません
が、自分で調理し自立した生活を送りたい、また高齢になった御両親に料理を作ってあげたいということで、調理訓
練を希望されました。調理訓練では、右上下肢機能障害があるため、作業療法士から調理場となる場所の安全確保や
材料を安全にカットするなど、主に調理の工夫についてのアドバイスをいただきながら、訓練を進めました。
今回のメニューはペンネのトマトソテーです。調理ではピューレの瓶の蓋を開けることに苦労していましたが、滑
り止め(道具)を工夫して見事自力で開缶でき完成することができました。さまざまな工夫をしていくうちに、利用
者も自分に自信がつき一通りの調理ができるようになりました。そして今は、御両親に何を作ってあげようかと意気
込んでおりました。
調理訓練も同様ですが、障害者の自立を考える上で、当室では以下のことを利用者に理解して頂けるよう支援し
ています。
@ あきらめないで、やり通すことの大切さ
A 悔しい思いを抱きながらも出来ない時は、他人に手助けを求める強さ
社会は今日、障害者に対する意識は変化しつつありますが、必ずしも万全に整備されているわけではありません
。障害者が自立した生活を送られるよう支援する仕組みは必要だと思いますが、一方でハンディキャップがあって
も自分には何ができるのか考えて、一歩を踏みだして欲しいと思います。