〔基幹情報システムの更新について〕
基幹情報システムの更新について
管理部 企画課
研究所 福祉機器開発部


1.更新システムの特徴
 旧基幹情報システムは平成7年から平成12年に構築し活用されてきたが、老朽化とともに、現状の要求に十分応えられない状態となった。このため、次期システムの設計、構築にあたっては、当センター担当職員に加え、システム開発業者にコンサルティングをお願いし検討した。コンサルティングは、平成16年度に行われ、構内LANを含めたセンター基幹情報システムの現状調査、概念設計、セキュリティポリシーの提案などがなされた。コンサルタントの評価・提案を受け、平成17年度に入札用仕様書作成及び入札を行い、年度末にかけて詳細設計及び構築を行った。システムの試験、検証を行った後に平成18年7月から新システムへ切り替わった。ここでは新基幹情報システムの紹介を行う。  仕様を決める際の考え方は、安全性、利便性、耐障害性、運用管理保守性、経済性を現状より高めることを基本として、具体的には1)セキュリティゾーンを区別し、かつユーザー管理が行えること。2)可能な限りオープンソースを用いること。3)機器の二重化、予備機の導入による保守の確保を図ることにより、運用経費を抑えられるシステムを構築すること。4)可能な限り標準的な技術、モジュール化・統一した機器で構成し、データやプログラムは一元管理ができることとした。

1) 安全性に関しては、外部からの攻撃も厳しくなってきたので外部公開WEBサーバには改竄検知機能、ミラーリング機能を設けた。またウイルス対策、迷惑メール対策、スパイウエア対策の改善が望まれた。同時に内部からのLAN経由のウイルス対策、不正使用、情報漏洩を防止するための安全対策が必要となった。ファイアウオールを外部側と構内側と2セット用い、外部公開ゾーン、一般サービスゾーン、高次セキュリティゾーンに分けるとともに各サービスのユーザーごと、グループごとにアクセス制限を設け、安全性を向上させた。また、パスワードの規程を厳しくすると共に、有効期限を設け、かつサーバ、クライアント間は暗号化通信を行い、安全性を高めている。
2) 利便性に関しては、出張時等、外部からメールやイントラネットホームページ、ファイル共有等に対してアクセス可能とするリモートコントロール機能を設けると共に、メーリングリスト機能、共有フォルダの充実、イントラネットホームページの充実等が挙げられる。当センターでは平成12年にセンター全体が構内LANで接続され、主にメール、ファイル共有、ホームページ閲覧やファイル転送等のサービスが活用されてきたが、年々、使用方法の多様化や、利用率の向上によりパフォーマンスが不足してきた。特にファイアウオール、メールサーバ、ウイルス対策サーバ、そして外部公開ホームページサーバの負荷が大きくなった。旧システムのファイアウオールは、サーバのソフトウエアによりなされており、パフォーマンスに限界があったので、専用機(アプライアンス)を導入し、パフォーマンスの向上を図った。またサーバを複数台導入し、各サービス(機能)を分散することによりパフォーマンスの向上を図った。各サービスを分散させることにより、負荷を軽減すると共に、障害時への影響を軽減することにも役立っている。
3) 耐障害性・運用管理保守性に関しては、ユーザー管理、データ管理等を一元管理し、人的ミスを軽減するとともに作業効率、安全性を高めている。また故障時には迅速に復帰できるように、システムのリカバリ機能、重要機器については二重化、データの自動バックアップを行っている。これらにより保守経費の軽減も図ることが可能となった。管理監視機能としてログ分析、死活監視、パフォーマンス監視、システム障害時の警告メール送信などがある。また、旧システムでは不十分であった設計図書、ユーザマニュアル、運用管理マニュアル等のドキュメントの整備を行い、保守、運用性を高めた。
4) その他の新しい機能としてホームページのアクセス分析がある。これは、アクセスされたページやダウンロードされたファイルの数、アクセス先の地域などのデータを得ることが可能となり、今後の広報活動に役立つと思われる。

(図)基幹情報システム概略図


2.今後の課題
 仕様書の作成時には30種類以上のソフト、ハードの比較検討を行い、ものによっては実際に試験を行い、有効性 を検証した。これらの検証や設計に際しては、重度視覚障害者の方も加わっていただき、検証や設計のみならず、 アクセシビリティ・ユーザビリティへの配慮に相当の貢献をしていただいた。また、構築時には業者の技術スタッ フとともに、事務系のスタッフも含めた当センター関係者とのチームワークの重要性を改めて感じた次第である。 今後、解決していかなければならない技術課題も多いが、最も重要なことはセンター全体として基幹情報システム を情報共有の基盤設備として、どの様に活かしていくかであろう。我々は現在、当たり前のようにインターネット 、メール、データベース等を使用しているが、これらも情報共有ツールの一つである。センター全体として充実を 図っていくためには職員のチームワーク、意識向上が益々、重要になってくると思われる。そのためには、核とな る運営体制整備を図っていくことが最も重要であろう。今後とも御指導、御協力を御願いしたい。