〔卒業生訪問シリーズ4〕
突撃取材班レポート
〜当センター学院卒業生の就職先を訪問〜
管理部企画課



 永生病院では「急性期から慢性期までの一貫した医療」「成人から高齢者までの一貫した医療」「地域に根づ いた医療」の三つをスローガンとして運営しております。高齢者専門病院として昭和36年に開設された永生病院は 、高齢者医療及び看護、介護の専門技術を培い、その後外来診療、リハビリテーションセンター、在宅支援システ ムの充実に取り組んできました。また、介護老人保健施設の介護事業、訪問事業、デイケアなど更なる充実を含め た在宅総合ケアセンターの整備、さらには地域リハビリテーション広域支援センターを目指し積極的に取り組ん でおります。
 今回は言語聴覚士 山本徹さん、松岡恵さんに、学院時代の懐かしい思い出や永生病院での業務についてお話 を伺いましたのでご紹介します。


(写真1)永世病院病棟(リハビリテーション病棟)
永世病院病棟(リハビリテーション病棟)

Q. まず、学院時代のお話から伺いたいと思います。言語聴覚学科を志望した動機は何ですか。
(山本).学院に入学する以前、知的障害の授産施設の職員として働いていましたが、授産施設で感じたことは、障害者とのコミュニケーションの難しさでした。そこでコミュニケーションに特化し、専門性をさらに磨きたいと思うようになりました。またコミュニケーションエイドにも興味があったので、言語聴覚学科に入学しました。
(松岡).大学院で認知神経心理学を学んでいましたが、臨床にでる機会が少なかったので、机上ではなく実際に障害を持っている方と触れ合う機会を求めていました。研究職としてではなく臨床を希望していましたが、自分が学んできた研究に近い分野での臨床を希望していたので、言語聴覚学科を志望しました。
   
Q. 学院で過ごした2年間の勉強の中で、大変だったことはありますか。
M. 言語聴覚学科では1年次のとき、グループで言語発達遅滞の子どもや失語症の成人に対する臨床実習があります。実習は1人の患者に対し、グループで訓練の計画や結果の評価などを学生が主体となって取り組んでいくのですが、何をしていいか分からない中、議論をするので話が煮詰まったり、意見がまとまらなかったりして大変でした。
   
Q. 学院生活を振り返って、印象に残った思い出はありますか。
Y. 学生の控え室で豚汁を作ったり、自分たちでイベントを作って楽しんでいましたが、印象的だったのは謝恩会です。先輩を送り出すため、みんなで学芸会を企画したり、歌を唄ったりしていました。
M. カリキュラムや課題をこなすため、朝から晩までクラスメイトと一緒にいるので、大学や大学院にいた頃より学生らしい生活をしていたと思います。振り返ってみると、高校や大学生活でやり残したことを学院生活でやっていたという感じでした。
   
Q. 学院生活の中で思い残したことはありますか。
M. 他学科の方とあまり交流がなかったので、もっと交流を深めておけばよかったなと思います。
Y. 時間をあまり設けられなかったかもしれませんが、ボランティアをやっておけば良かったなと思います。
   
Q. 永生病院での勤務についてお話を聞かせてください。現在はどうような業務をしているのでしょうか。
Y. 永生病院では、急性期な患者を受入れている一般病棟、リハビリを行なっている回復期の病棟、療養病床など様々ありますが、私達は療養病床で慢性期の認知症を患った後期高齢者の方を対象に訓練を行なっています。現在行っている訓練は嚥下訓練が多いのですが、訓練ではただ飲み込みを見るだけではなく、認知症を伴っている場合は「その人がどういう生活をしているのか」、「なぜ食べられなくなったか」を考えなければなりません。リハビリを行なっている患者であれば、この部分に麻痺があるのでこういう方法をとれば食べさせられるというのはありますが、認知症を伴っている場合、「その人の生活がどんなものだったのか」を考えないと食べることができない状態が多いのが実態です。食べられない原因が神経にあるわけではなく、食べ物を食べ物として認識していなかったり、食べる行為自体が崩壊してしまっていることが原因だったりします。そのような患者に対してどのように対応しなくてはならないかを考えることは、学院では経験することがなかったので、やりがいを感じています。
   
Q. 仕事をする上で、気をつけていることはありますか。
Y. 患者と接する時ですが、私は患者に対しては対等で接しようと考えています。どういうことかというと、永生病院では「患者様」という言い方をしているが、ホテルサービスをするところではありません。患者が生活していく中での仲間と思って欲しいので、私もその生活観を共有するよう心掛けています。
M. 後、自分がされたらいやだなという事は避けています。患者として良かれと思ってやろうとしがちですが、同じ1人の人間として、同じ目線に立って接するように努めています。
   
Q. 今後、仕事について目標や挑戦したいことはありますか。
Y. 認知症に関してケアスタッフの指導をしてみたいと思います。自分がリハビリのスタッフとして患者に関われる時間は限られています。患者に関わること以上に、ケアスタッフの理解を深める手助けをしたいと思います。
M. 自分ひとりでできることは限られているので、情報・技術の共有をしたいなと思っています。また、認知症については言語聴覚の分野が未開拓なので、さらに理解を深めて外に向かって発信していければと思います。研究職一本に戻りたいと言うことはありませんが、臨床をしている中で研究的な観点で発表や論理的な裏づけをとれればいいなと考えています。


(写真2)松岡 恵さん(左)と山本 徹さん(右)
松岡 恵さん(左)と山本 徹さん(右))

Q. 最後に後輩たちにメッセージをお願いします。
Y. 仕事を始めるときに、知っていることより分からないことが多いということに気付かされました。なので、分からないことは自分で作るんだという気持ちを持って社会に出てきてほしいなと思います。
M. 自分だけで考えず、周りに相談して欲しいと思います。学院は同じ志をもった仲間がいるので、密にコミュニケーションをとれば、勉強にもなるし、支えにもなり今後の繋がりとしても築けていけると思います。

本日は、お忙しい所お答えいただきありがとうございました。今後とも、益々のご活躍を期待しております。