〔センター行事〕 |
第1回センター職員研修会開催報告 |
研究所障害福祉研究部長 河村 宏 |
本年9月14日、平成18年度に企画したリハセンター職員研修講演会の第1回の講師に、センター設立時の厚生省社会局更生
課長として、創設準備から今日まで当センターの歩みを見守ってこられた板山賢治氏(日本社会事業大学名誉博士、社会福祉法
人浴風会理事長)をお招きした。
講演内容は、ク東京パラリンピック(昭和39年11月)を契機として身体障害者福祉審議会が「国立リハビリテーションセンタ
ー」設置を提言(昭和41年11月)してから当センター設置(昭和54年7月)までの経緯と関係者の思い、ケセンターの理念およ
び構想と今日までの活動の評価、コ今後のセンターのあり方への提言、に整理された体系的なもので、職員一同に大きな感銘を
与えた。
「橋を渡るときは橋をかけた人を思い、井戸を使うときは井戸を掘った人を思う」ということばで始まったセンター設立の理
念と経緯は、障害者の自立と社会参加を願う人々の熱い思いが、15年におよぶ取り組みの末にセンターを創設させたことを改め
て浮き彫りにした。
次いで、現在の活動について、当初のセンター構想の中で、(1)リハビリテーション技術の総合的な研究開発と公私立施設
および在宅者サービスへの技術的指導援助、(2)総合的なリハビリテーションに関する情報収集・提供機能、(3)センター
内の施設における高度のリハビリテーションの実施と、そのための研究開発、職員養成、研修の実施、(4)リハビリテーショ
ン専門職員の養成、国内各施設職員の研修および講習の実施、と4項目に整理された活動目標の(3)を除く各項目については、
成果を上げていると評価された。
最後に、今後のセンターの活動に対する提言として、(1)障害者一人一人に焦点を当ててセンター内各部門が連携して取り
組む総合的リハビリテーションの実現、(2)臨床・現場における実践と連携した研究開発の推進、(3)変化する社会的ニー
ズに応えられる専門職の養成、(4)リハビリテーションに関する情報の収集および提供、(5)身体障害から障害全体を視野
に入れたナショナルセンターへの脱皮、(6)わが国の障害者リハビリテーションの動向と課題を明らかにするための「障害者
リハビリテーション白書」の刊行、(7)総合相談支援センター機能の確立、が要望された。
特に、「情報の収集と提供」の活動が弱いと指摘され、障害者団体等の民間団体および個人との連携を強めて欲しいと強く要
望された。また、障害者自立支援法については、制度は決まった以上執行されなければならないが、その中で問題があれば、そ
れを是正していくための説得力のある根拠を明らかにすることも行政の責任であると述べ、かつて生活保護費の国庫負担分の引
き下げを当時の厚生大臣が職を賭して阻止した故事も披露された。
壇上に用意された椅子とテーブルを使うことなく聴衆と同じフロアに立ってマイクを握り、障害者の自立と社会参加を常に中
心に置くナショナル・センターであれとの理念を説き、明快なご提言をくださった講師のあたたかくも毅然とした姿勢が本館大
会議室に満ちた70分間であった。