〔更生訓練所情報〕 |
職業準備プログラムについて |
更生訓練所指導部 生活訓練課 生活訓練専門職 河野 智子 |
○はじめに
更生訓練所では、障害者自立支援法に基づく新事業の移行に合わせ、利用者の職業適応を図る事業の一環として、本年度から「職業準備プログラム」
を開始しました。
これまで就労支援の過程で、利用者の中には職業スキルとは別に、社会人として必要な自己表現の方法やマナー、就労に関わる情報収集、社会生活の
知識等、基礎的な知識や体験が不足しているケースが見られ、これらのことが求職活動や職場の定着を阻害している要因のひとつと思われました。そこ
で、この課題の解決を図るため、指導部、職能部合同の職業準備プログラムチームで検討を続けてきました。
以下は職業準備プログラムの概要を紹介します。
1.対象者 (参加者)
主に養護学校等の新卒者や就労経験のない更生訓練所の利用者
2.内容
項目を以下の5つとして、1回2時間、全8回に亘り実施しました
回数 |
項目 |
テーマ |
1 |
自己認識 | 自分のことをもっと知ろう |
2・3 |
職場のマナー | 挨拶と言葉遣い、電話の対応、身だしなみ |
4・5 |
働くための準備 | いろいろな仕事を知る、自分に適した仕事を探す、就職するための手続 |
6・7 |
地域で生活する | 自分の生活の基礎を築く、自分の生活を創る |
8 |
美容講習会 | 基礎的なお化粧方法、基礎化粧品とファンデーションの使用 |
3.実施方法
実施方法については、参加者は4〜5名の小グループを作り、司会や書記等の役割を決め、支援者(職員)はテーマに沿った
課題を提案します。各グループはワークシートを活用してディスカッションし、意見をまとめ発表します。
グループワークでは、支援者がお互いの意見を聞くことによって様々な考え方があることを知り、自分の考え方をまとめるの
に役立てられるよう支援したり、様々な意見を認め、メンバーと意志疎通が出来るような雰囲気を作ること等に留意しつつ、各
グループの意見を参考に、場面に応じた様々な方法があることを参加者に話し合ってもらいます。
地域生活ワークシート 生活の基礎を築く
※次の各生活場面について、自分で行うことができますか。
「自分でできると思う」「部分的にサポートがあればできると思う」「全てサポートしてほしい」のうち、当てはまる箇所に○
をしてください。
<T.健康管理>
生活場面 |
自分でできると思う |
部分的にサポートが あればできると思う |
全てサポートしてほしい |
|
1 |
生活リズムを守る(睡眠、食事など) | |||
2 |
医者から指示された通りに薬を服用する | |||
3 |
風邪をひいた時に対応する | |||
4 |
栄養バランスを考えて食事を選ぶ | |||
5 |
適度な運動をする | |||
6 |
ストレスを解消する |
生活場面 |
自分でできると思う |
部分的にサポートが あればできると思う |
全てサポートしてほしい |
|
1 |
インスタント食品などを使用して簡単な 昼食を準備する |
|||
2 |
いろいろな食べ方を組み合わせて食事を 準備する |
|||
3 |
健康や体調を考えてメニューをつくり 調理をする |
|||
4 |
食料品を保存する |
生活場面 |
自分でできると思う |
部分的にサポートが あればできると思う |
全てサポートしてほしい |
|
1 |
歯磨き、洗顔、紙をとかす、髭剃り(男性) 化粧品の使用、着替え、トイレ、爪きり 入浴などの身の回りのことをする |
|||
2 |
床屋や美容院へ行く | |||
3 |
外出の目的に応じて必要な持ち物を そろえる |
○今後の取り組みとして
今年度の第1回職業準備プログラムでは、参加者の皆さんの活発な意見交換や熱心な態度にも助けられ、グループワークを効果的に
進めることができました。参加者からもアンケートを実施した結果、「自分のことが改めてわかり、いろいろな人がいることもわかっ
た。」「今まで自分のことを考える時間がなかったが良い機会になり、自分を紹介するコツがわかりました。」「働いてからの地域の
生活を理解するのは少し難しかった。」など、様々な意見がありました。
今後は、体験学習や職場見学、修了者の職場体験談等も加え、更に充実を図りたいと考えています。