〔更生訓練所情報〕
大分国際車いすマラソンそして
NRCD車いすマラソンチームのチャレンジ
主任生活支援専門職
三好 尉史



 日本人としてはじめて大分県の笹原選手が栄冠を勝ち取った(フルマラソンの部:タイム1時間24分15秒:日本新) 第26回大分国際車いすマラソン大会は、快晴のもと2006年10月28日大分県大分市で開催されました。1981年11月1日、国 際障害者年の記念行事として、参加15カ国、117名で記念すべき第1回大会がスタートした大分国際車いすマラソン大会は、 今大会も18カ国、327名がエントリーする等、大会規模、競技レベルそして市民の応援も世界一の車いすマラソン大会として 知られています。この26年の歴史の中でこれまで多くの激戦が繰り広げられ、また、ドラマが誕生しています。ハインツ・ フライ(スイス)の10連覇、車いすマラソンの世界記録(1999年:1時間20分14秒:ハインツ・フライ)も同大会で打ち立 てられ、7年間破られていません。また、最近は九州の選手を中心に日本人選手の競技レベルもアップ、今大会も九州か ら6名の選手が10位以内の入賞を果たしています。一方でT51、T52の障害が重い選手がマラソンにチャレンジできる懐の 深い大会でもあります。今回、愛媛県の井上選手(T51クラス)が日本人としてはじめてフルマラソンを完走しました。 井上選手は、国立別府重度障害者センターで競技を始め、先ずはハーフマラソンから取り組み、約7年かけて成し遂げ た完走でした。井上選手の努力やご家族の協力、彼の競技生活の基礎を作った国立別府重度障害者センタースタッフの 支えがあってのことですが、何よりも世界一の車いすマラソン大会が大分の地で26年間も続いているおかげだと思います。
 さて、NRCD車いすマラソンチームからは、第23回(2003年)大会から4年連続、これまで7名の選手が出場していま す。いずれも障害の重い頚髄損傷の利用者で、T51、T52のクラスにエントリー、第25回大会ではT51のハーフマラソ ンの部3位入賞を果たしています。今回は清宮崇之さんと官野一彦さんがT52のハーフマラソンの部に参加、それぞれ 1時間11分2秒、1時間19分31秒で見事完走しています。普段の活動は週に1回程度、主に陸上競技場で自主活動と して練習を行っています。自分専用のレーサー車を持っている利用者はわずかであり、利用者の障害状況にあわせた レーサー車のセッティングに一番苦労しています。さらに短い練習時間でいかに効率的に練習を行うか、基本となる フォーム固めから徐々に距離を伸ばし、スピードアップできるように工夫しながら取り組んでいます。大会参加を終 え清宮さんも官野さんもまもなく修了し、就職することになります。NRCD車いすマラソンチームも彼等の新たなスタ ートにあわせ、再スタートを切ることになります。来年の大会参加を目標にして。


(写真1)大会に参加したNRCDチーム(官野さん(左)と清宮さん(右))
大会に参加したNRCDチーム(官野さん(左)と清宮さん(右))

(写真2)大会の様子
大会の様子