〔ワンポイントマッサージシリーズ12〕
〜東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を〜
更生訓練所理療教育部主任教官 柳澤 春樹



12.「下痢をしやすい(過敏性腸症候群)」

  最近、職場や学校などでの人間関係のストレスなどが原因と思われる下痢で悩んでいる人が増えています。出勤時の駅のトイレがいつもいっぱいで苦労するとの話も聞かれます。精神的なダメージから下痢と便秘をくりかえす例が多いのです。交感神経が緊張し、副交感神経の働きが悪くなって症状が起こるといわれています。

  食中毒などの最近による感染症は急性腸炎と呼ばれ、発熱や腹痛を伴うものです。こちらは専門医による診察の上でしっかりとした治療を受けなければなりません。

  また、アルコール類を多く飲んだ次の日には下痢や軟便となりやすくなりますが、このような状態が続くとさまざまな症状を起こしてしまいますので、注意しなければなりません。

  以下に紹介する方法で、自律神経の働きを整え、心身をリラックスさせ、つらい下痢症状を少しでも軽減させてください。

 



1. 座った姿勢で行えます。膝蓋骨外側上端から数センチのところにあるくぼみに両手の親指を重ねて指圧します。1,2,3で息を吐きながら前かがみになり力を加え、4,5,6で息を吸いながら力を抜きます。5・6回くりかえします。 (梁丘「りょうきゅう」) (図1)

(図1)梁丘「りょうきゅう」




2.仰向けになって膝を立てた姿勢で行います。臍の高さで指3本分横にある部位です。ここに両手の中指を重ねて置き1,2,3 と息を吐きながら力を加えて小さく押し揉みをします。4,5,6で息を吸いながら力を抜きます。左右に5・6回ずつ行います。 (天枢「てんすう」) (図2)

(図2)天枢「てんすう」




3. 椅子に坐って行えます。両側の腰骨(腸骨)の上端を結んだ線(第4腰椎棘突起の下)で指2本分外側にある部位(図)に同側のこぶしを当て、息を吐きながら1,2,3と体を同側の横に曲げながらこぶしの角で指圧します。4,5,6で息を吸いながら力を抜き体をもとに戻します。5・6回行い、反対側も同じ要領で行います。 (大腸兪「だいちょうゆ」) (図3)

(図3)大腸兪「だいちょうゆ」