〔ワンポイントマッサージシリーズ14〕
〜東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を〜
更生訓練所理療教育部主任教官 柳澤 春樹



14.「便秘」

 快食、快眠、快便は健康のバロメーターとも言われます。近頃便秘でお悩みの方も多いので、今回は便秘を取り上げました。

 一般的には3日から5日排便がないことを「便秘」と言います。しかし、一週間に1度の排便でも気持ちよく排便ができていれば問題はないことが多いのです。しかし、毎日排便があったとしても便が固くてでづらかったり、血液が混入していたり、残便感があるような場合には大きな病気が潜んでいることも考えられますので、専門医の診察を受けなければなりません。

 通常便秘の原因は体質的なものと言われています。しかし、不規則な生活や食習慣、運動不足などで腹筋が弱くなり、腸の蠕動運動が悪くなり便秘となることが多いのです。

 いずれにしても便秘は体調不良の原因となり、皮膚が荒れたり顔色も悪くなりがちですので、早く解消したいものです。



1.仰向けで両膝を曲げて行います。臍から指4本外方でそこから指3本下がったところの部位(図参照)にそれぞれ中指を当てて指圧します。息を吸い、お腹を突き出すようにしながら1,2,3と押し、4,5,6で息を吐きながら力を抜きます。これを5・6回くりかえします。

(大巨「だいこ」)(図1)


(図1)大巨「だいこ」




2.正座して行うと効果的です。椅子に坐った姿勢でも可能です。左右の腸骨の上縁を結んだ線(第4腰椎棘突起の高さ)で指の幅2本分外側の部位に親指で指圧します。1,2,3と息を吐きながら体を側方に倒して力を入れ、4,5、6で息を吸いながらもとの位置に戻ります。次に反対側にも行います。これを5・6回くりかえします。

(大腸兪「だいちょうゆ」)(図2)


(図2)大腸兪「だいちょうゆ」




3.足を投げ出して坐り、マッサージする方の足を膝の上に乗せます。片手で足首を固定し反対側の手の親指の腹で足の親指の付け根の内側を指先から足首に向けてゆっくりと、やや強めにさすります。5・6回行ったら反対側にも行います。

(太白「たいはく」)(図3)


(図3)太白「たいはく」



 便秘を軽快させるにはマッサージだけではうまくいきません。規則正しい生活に努め、食物繊維の多い食物(野菜類など)を多く摂取するようにし、水分も充分に補充し、適切な運動も欠かせません。軽い腹筋運動なども徐々に行ってゆきましょう。

 上記のほかにも役にたつ方法は沢山あります。例えば、踵を軽く握ったこぶしでたたいたり、お腹に両手を重ねて置き、掌でお臍を中心に右回りのゆっくりとしたマッサージをするのも穏やかな効果が期待されます。昔から我が国のあん摩術にも「按腹(あんぷく)」と呼ばれる優れた術式が伝えられています。専門家に相談してみるのもいいでしょう。