〔魚拓シリーズ12〕
念仏鯛・メジナ
前更生訓練所理療指導室長 川政 勲



 念仏鯛はテンジクダイ科の魚で、本州中部以南、台湾、フィリピンに分布。浅海域の内湾に生息し、岩礁周辺に群生する。雌が産卵し、雄が口の中に卵を入れ、孵化するまで何も食べずに口の卵に新鮮な海水を送り込んでいる。孵化した後も雄は稚魚を守り、危険が近づくと自分の口の中に稚魚を入れて守る。こうして稚魚が生活できるまで見守ると体力を消耗し、餌を食べないので消化器官も退化して死んでしまう。人間の親に見習わせたい魚である。水深百メートルの比較的深いところに群れていて、マダイやイサキなどを狙うとき邪魔になるほどよく釣れる。

 メジナはメジナ科の魚で北海道南部以南に分布。生息域は水深80メートルまでの岩礁地帯。生まれて3日か4日で親と同じ姿になり生まれた年の秋には大群を作って浅い海に群れる。磯釣りの好ターゲットである。

 作品のメジナは、青森港で親子が釣っていたものを「100円で売ってください」とお願いしたら「あげますよ」と譲ってくれたものを作品にしたものである。

 伊東沖では、3年間の重度障害者センター勤務中、36種類もの魚を釣った。

メジナもそのうちの一つで、船で釣ったので、磯で釣り上げたもののような臭さは無く、とても美味でビールが進んだことを記憶している。

 メジナは釣り上げたときの魚体の色がとても綺麗な青い色をしているが、目の色も青い色をしている。大きいメジナでなければ表現できず、残念である。

夕焼けの海に広がる逆さ富士  いさお



念仏鯛・メジナ