〔ワンポイントマッサージシリーズ16〕
〜東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を〜
更生訓練所理療教育部主任教官 柳澤 春樹



16.「めまい、立ちくらみ」

 今回は「めまい、立ちくらみ」を取り上げてみましょう。

 一口にめまいと言ってもいろいろなものがあります。

 代表的なものだけでも以下のようなものがあります。自分自身や周りがぐるぐる回っているように感じるもの(回転性めまい)、これはものが左右や上下に流れているように感じられることもあります。頭や体がぐらぐら揺れているように感じたり、ふらふらするようなもの(動揺性めまい)、これは歩いていてもふらついてしまいます。体がふわふわするようで宙に浮いているような感じ、あるいは舟に乗っているような感じとか雲の上を歩いているような感じ(浮動性めまい)、これはなんとなく頭がフワーッとする感じなども含めています。これらのめまいは互いに関連していることが多く、耳や脳に原因があることが多いものです。

 「立ちくらみ」は「眼前暗黒感」といわれ、立ち上がった瞬間にくらくらっとしたり、長く立っていると目の前が暗くなるように感じるものです。子供には時々みられ、起立性調節障害と言われています。また、普段低血圧ぎみの人も起こりやすいものです。アルコールやお薬が関係しているものもあります。「起立性低血圧」と呼ばれる多くのものは自律神経の調節がうまく働かずに起こるもので、日本人に急激に増えているといわれる糖尿病の方々にも多いものです。

 高血圧症や動脈硬化のある人は急に血圧が下がると脳梗塞を起こす危険があり、最も注意しなければならないといわれています。

 大きな音を聴いたり、強い臭いをかいだりしてめまいを感じることもあります。また「顎関節症」の方などで口をあけたときに「めまい」を感じるという方もおられます。頭を反らしたり首をまわしたりしたとたんに、めまいを感じるという方もよくみられます。

 吐き気がしたり、実際に吐いてしまう。動悸がする。冷や汗をかくなどのさまざまな症状の現れることも珍しくありません。

 これらの原因はしっかりと診断し、恐ろしい後遺症を残すようなことにならないように脳神経外科、神経内科、耳鼻咽喉科などの専門医に相談すべきものなのです。

 しかし、異常な自覚症状があったので、医療機関を訪れて精密検査を受けたが何も発見されずに「心身の休養に努めてストレスを軽減してください。」と言われたかたは多いと思われます。

 

 以下に紹介する方法は軽い「めまい」や「立ちくらみ」で悩んでおられる方々に試していただきたいものです



1.椅子に座って行えます。耳のすぐ前の小さな突起(耳珠)の下にそれぞれの親指を当て、頭を後ろにそらせながら、1,2,3で息を吸いながら力を加えて指圧してゆきます。4,5,6で息を吐きながら力を抜き、もとに戻します。これを5・6回くりかえします。

(聴宮「ちょうきゅう」) (図1)


(図1)聴宮「ちょうきゅう」




2.やはり椅子に座って行えます。耳の後ろの骨のでっぱり(乳様突起という)と「盆の窪」との間にある太い筋(僧帽筋という)のほぼ中央にある大変重要なポイントで、髪の生えぎわを、同じ側の親指を当て、頭をそちら側に傾けながら指圧します。1,2,3と息を吐きながら力を入れ、4,5,6で息を吸いながら力を抜いてもとに戻ります。これを反対側にも同様に行います。

(風池「ふうち」) (図2)


(図2)風池「ふうち」




3.座っていても横になっていても行えます。外くるぶしのすぐ後側でアキレス腱との間にあるポイントに親指の腹を当てて押し揉みをします。1,2,3で息を吐きながら力を加え、4,5,6で息を吸いながら力を抜きます。5・6回行ったら反対側にも行ってみましょう。

(崑崙「こんろん」) (図3)


(図3)崑崙「こんろん」



 中高年になっても一度もめまいを経験したことがないという人は少ないでしょう。特に若いころから頑健で自信のある方は要注意です。少し疲れたようでもがんばってしまう傾向があり、気がついたら大変なことになっていたというひとが多いようです。

 くれぐれも健康に対しての過信を起こさず、真の健康を続けたいものです。