〔研究所情報〕
第22回リハ工学カンファレンス参加報告
研究所障害工学研究部 研究員 中山 剛



 リハ工学カンファレンスは日本リハビリテーション工学協会が主催して、年に1回のペースで開催しています。工学・医学・福祉・教育・行政などの多分野の専門家や障害当事者も数多く参加するカンファレンスです。第22回リハ工学カンファレンス(The 22nd Japanese Conference on the Advanced of Assistive and Rehabilitation Technology,22nd JCAART)は2007年8月23日から25日にかけて名古屋国際会議場で開催されました(図1)。

 「住宅改造」「電動車いすの操縦」「脊髄損傷のADL」「介護予防」「スイッチ」など26のセッションにてリハ工学に関連する様々な口頭発表が行われました。筆者は「教育・就労」セッションにて「携帯情報端末(PDA)を利用した高次脳機能障害者の職業訓練支援」をテーマに発表を行いました。同セッションでは八雲病院における「重い障害を持つ生徒への就労移行支援」や大阪市職業リハセンターにおける「Webラーニングコースの職業訓練・就業支援」、Do-IT Japanによる「障害のある高校生のための大学体験プログラム」などが発表され、大変活発な質疑と意見交換が行われました。口頭発表の他にも「自助具ワークショップ」や「支援技術基礎講座」などの公開企画やセミナー、機器展示と発表を行うインタラクティブセッション、「福祉機器コンテスト2007」の一次選考通過作品の展示、福祉用具・支援技術・リハ工学関連機器の展示など、様々な企画や機器展示が行われました。機器展示ブースでは、ARM(Exact Dynamics BV、テクノツール(株))およびEMC-230+U(岐阜県情報技術研究所)という2種類の電動車いす搭載型ロボットが展示されており、カンファレンス参加者の注目を集めていました(図2)。

 25日の午後にはあいち健康長寿産業クラスター推進協議会および日本福祉大学との共催で公開セミナー/シンポジウム「地域リハビリテーションとリハ工学」が開催されました。第一部では澤村誠志先生(兵庫県立リハビリテーションセンター顧問/中央病院名誉院長)が「誰もが心豊かに住み続ける地域社会をめざして」をテーマに基調講演をなさいました。豊かな現場の体験談を交えながら地域の中で暮らすための提言がテーマのご講演でした。第二部では後藤芳一先生(日本福祉大学)をコーディネータとして「生活を支えるテクノロジー」をテーマとしたシンポジウムが開催されました。中邑賢龍先生(東京大学先端技術研究センター)、上村数洋氏(バーチャルメディア工房ぎふ)、畠山卓朗先生(早稲田大学人間科学学術院)、小島 操氏(東京都老人総合研究所、石神井訪問看護ステーション)の4名がシンポジストとして参加しました。会場からの質問に澤村先生と4名のシンポジストが回答する形で、どうすれば地域リハビリテーションをより良くできるのか、リハ工学のあり方などについて活発な意見交換がなされました。 

 来年のカンファレンス(第23回リハ工学カンファレンス)は2008年8月27日から29日の日程で朱鷺メッセ(新潟市中央区)にて開催される予定です。なお、日本リハビリテーション工学協会のホームページアドレスは http://www.resja.gr.jp/です。



(図1)会場となった名古屋国際会議場   シンボル「幻のスフォルツァ騎馬像」
(図1)会場となった名古屋国際会議場とシンボル「幻のスフォルツァ騎馬像」


(図2)展示されていた電動車いす搭載型ロボット「ARM,Assistive Robotic Manipulator」(メーカ:Exact Dynamics BV(オランダ),日本の窓口:テクノツール株式会社)
(図2)展示されていた電動車いす搭載型ロボット「ARM,Assistive Robotic Manipulator」
(メーカ:Exact Dynamics BV(オランダ),日本の窓口:テクノツール株式会社)