〔病院情報〕
病院紹介シリーズC「臨床検査」
‐検査オーダリングシステムと採血管準備装置‐
病院診療部研究検査科


 病院の臨床検査では、検査オーダリングシステムと採血管準備装置が平成17年12月1日より、稼働を開始しました。以下、これらについて説明します。

 オーダリングシステムとは、オーダー(注文)を、その場でコンピュータ端末等に入力し(発生源入力)、内容を相手方へ直接送るシステムです。

 身近な、外食産業(回転寿司店など)でも、見うけられます。座席から、注文品や数量を入力すると、オーダー内容は厨房と会計へ送られます。

 病院のオーダリングシステムは、もう少し複雑です。当センターのメール回線とは別の、独立した、コンピュータネットワークを用いた医療指示情報システムです。依頼に対して、返送も必要な為、双方向性機能があります。このシステムの中では、薬の処方、リハビリ(訓練)、食事、臨床検査、などが稼働しています。

 検査オーダリングシステム(以下、検査オーダと省略)とは、臨床検査に係わる生化学・免疫・血液の分野を受け持つものです。(病理、細菌、生理、などのシステムは購入していないので、検査オーダ゙にインストールされていません)

 検査オーダの導入後の利点を挙げると、@コンピュータ画面から医師が直接入力するのでオーダ履歴が残る。(依頼用紙を使用している時は、医師の手許に検査控が残らなかった)A検査オーダに対応したバーコードラベル(ID番号、氏名、等が記載)が発行され、ラベルの作成ミスがなく、ラベルによる確認作業が確実となった。B検査オーダの項目決定後は、内容が医事課(会計)へも同時に届くので、今までより早目に算定に取りかかる事が出来る。依頼項目と医事コード番号が対応しているので、間違いが無い。C「検査履歴」(オーダ履歴のことです)の閲覧が、診療科・病棟を問わず可能になった。この為、複数科の重複依頼発生が防止できるようになった。又、ある科の診察終了後に、別の科の診察を受け、追加検査項目の必要が発生した場合、追加が出来る。(追加項目にもよるが、通常は追加の為の採血は行わなくとも済みます)D「結果照会」(分析結果を表示する機能)も、診療科・病棟を問わず閲覧出来る。この画面は、毎日の業務開始にあたり、データ転送を行うので、常に一番新しい情報が記載されている。

 採血管準備装置は、あらかじめ登録した8種類の採血管を内蔵しています。(写真1)(左側に8種類のキャビネットがあり、採血管がストックしてあります)検査オーダの項目(複数の場合が多い)に対し、それに適応した採血管を自動的に選択しバーコードラベルを作成し、採血管に貼りつけ、患者さま毎に一つのトレイに収納する装置です。(写真2)(写真のマジックインキは大きさの比較の為です)

 病棟を例にとると、導入前では、主治医が検査依頼用紙に項目をマークすると「項目を確認し適応した採血管を用意する」→「氏名ラベルを採血管の数だけ作る」→「採血管にラベルを貼る」→「翌朝の採血に備える」という一連の作業を病棟の看護師の方々が行っていました。装置導入後は、これらの作業を検査科で行うこととし、発行されたラベルを採血管に貼り、採血前日の16:00頃に病棟へ届けています。(翌朝の採血に使う)(写真3)病棟巡回用のバスケット。複数のトレイを入れる。

 以上、簡単に説明しました。当面の悩みは、採血後に直ちに分析に取りかかれる為の自前の分析装置がない事です。現在は、外部委託していますが、院内検査体制を充実させてゆけば、よりよい医療体制が構築できると信じています。



(写真1)採血管準備装置
写真1
(写真2)バーコードラベルを添付した採血管
写真2

(写真3)採血管準備かご
写真3