〔更生訓練所情報〕

障害者就労支援センター等を訪問して

更生訓練所指導部相談判定課


 平成19年度当初、就労移行支援事業の利用者数(利用定員:100名)は、100%に近い状況にまで達していましたが、8月頃から8割を割り、徐々に人数が減少しはじめ、応募者数も少ない状況となりました。そこで、相談判定課では、利用者増を図るために、11月、12月の2ヶ月間で、埼玉県内の障害者就労支援センター、障害者就業・生活支援センターを訪問し、利用者募集活動を行いました。

 利用者募集活動として、県内20ヶ所の市に設置されている障害者就労支援センターの内18ヶ所(上尾市、桶川市、春日部市、川口市、川越市、久喜市、熊谷市、越谷市、さいたま市、幸手市、狭山市、草加市、秩父市、所沢市、新座市、東松山市、ふじみ野市、飯能市)と3ヶ所設置されている障害者就業・生活支援センター(東松山市:ZAC(ザック)、美里町:こだま、久喜市:埼葛北)の計21ヶ所を訪問しました。

 以下に、障害者就労支援センター等を訪問した状況等を報告いたします。

 障害者就労支援センターへの登録者(平成19年9月現在)は、全体で約2,000名でした。そのうち身体障害者の登録者数は約460名でした。センターによっては、身体障害者の登録者数が、40%を越えているところも2箇所ほどありましたが、平均すると24%で、知的障害者が約810名で40%と最も多く、精神障害者は約400名で20%の状況でした。また、就労者数(平成19年9月現在)は、全体で約660名でした。そのうち身体障害者の就労者数は約170名であり、全体の25%で、知的障害者が約430名で65%と最も多く、精神障害者は約90名で14%の状況でした。

 身体障害者の登録者数は24%ですが、身体障害のみでADLが自立されている方については、ご本人が直接ハローワークに相談に行かれることが多いため、登録者数は少ない状況であり、ADL面の支援が必要な重度障害の方や知的障害、精神障害等を併せもつ重複障害の方の数が多い状況でした。そのため、なかなか就職まで結びつけることが困難な状況がうかがえました。

 障害者就労支援センターの支援内容等については、設置年数、運営主体等によって、大きな差があるように感じました。開設間もないセンターにおいては、支援のノウハウを作り上げているところであり、一方、開設後、数年経っているセンターでは、各障害の特徴をとらえ、就労実績も多く、アフターフォローまで充実しているところもありました。運営主体については、市が行っているセンターもあれば、委託された様々な法人等が行っているセンターもありました。人員配置としては、市役所等にセンターを置き、担当が1〜2名程度というセンターから、建物等も整備を行い、8名程度で支援しているセンターもありました。また、所長や担当職員に、民間企業等からの登用を積極的に行っているセンターもありました。支援内容についても、相談支援中心のセンターから、当センターで実施しているような訓練(職業訓練、体験実習等)を独自で行い、ジョブコーチ派遣や離職予防等、ハローワークや各事業所等と連携を密にして、積極的な就労支援を行っているセンターまで、様々でした。

 障害者就労支援センター等から当センターに対して指摘をいただいた内容としては、当センターを利用することによって、どのようなメリットがあるのか、当センターの“売り”を明確にする必要があり、そのメリットの内容が、利用希望者の増大につながるのではないかとのことでした。

 今回、障害者就労支援センター等を訪問して、以下のことを感じました。当センターで実施しているような訓練を行っているセンターもあり、今後も障害者就労支援センター等での支援内容が充実していくことが予想されますので、上記の指摘のとおり、当センターにおいては、地域の障害者就労支援センター等との相違性や独自性を持つことが、最重要であると感じました。そこで、当センターとして、各障害者就労支援センター等での支援が困難な重度、重複障害の方の支援を積極的に行い、地域にその支援等のノウハウを伝えていくことや地域性、人員配置等によって、単独では就労支援が厳しいセンター等と連携を取りながら就労支援を行っていくこと等が求められていると感じました。

 今回の障害者就労支援センター等を訪問したことによって、地域の現状等が理解できたのは有意義な機会となりました。利用者募集については、今後も報道機関、医療機関等の活用によって、利用者増を図りたいと考えています。

 最後になりましたが、今回の利用者募集活動で訪問させていただき、対応していただいた各障害者就労支援センターの方々のご厚意に感謝申し上げます。