〔病院情報〕
病院紹介シリーズD「第一機能回復訓練部 作業療法」
病院第一機能回復訓練部作業療法



 作業療法は英語でOccupational Therapyといい、頭文字をとって「OT」と呼ばれています。職員は作業療法士8名、作業療法助手3名の計11名です。現在入院、外来合わせて約140名の患者さまに対応しています。入院患者さまを疾患別にみると、以前は頸髄損傷が約半数を占めていましたが、最近は脳卒中や外傷性脳損傷が60%を占め、30%が頸髄損傷をはじめとする脊髄損傷、残り10%が切断、変性疾患、骨関節疾患等と脊髄損傷が約半数を占めていた10年前に比べると徐々に疾患構成は変化しています。

 OT室は病院本館1階南側に位置し一年中明るく、開放的な窓からは四季の変化を感じることができる場所にあります。入り口を入ると3つの大きな部屋があり、病院玄関側からADL室、訓練室、手工芸室と続きます。ADL室にはキッチンユニットやベッド、訓練用トイレや浴室があります。訓練室には大小の机が並び、周辺には輪投げやパソコンが並び、手工芸室は名前の通り様々な手芸、工作が並んでいます。日常的な作業を楽しんでいるだけのように見えるかもしれませんが、作業療法士は患者さまの作業状況の評価を通して問題点を把握し、個々の患者さまの目的にあわせて課題や方法を選択、実施しています。理学療法士及び作業療法士法では「作業療法とは、身体または精神に障害のあるものに対し、主としてその応用動作能力または社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行わせることをいう」と定義されています。具体的にどのような目的を持って行っているかというと

 @ 筋力や関節の動きなどの身体機能や注意や計画的に動作の手順や方法を決定し遂行するなど高次脳機能の改善あるいは低下の予防を目的とします。作業活動を手段として用いているところが特徴ですが、目的によって作業活動の選択や実施方法が異なります。必要に応じて治療用装具も作製します。

 A 食事や更衣、排泄など身辺動作や家事動作などが可能になることを目的とします。動作のやり方の工夫や、補装具や自助具など障害を補う道具を導入して具体的な動作練習を行います。在宅生活に向けて自宅でも安全に日常生活活動が行えるように、家屋の改造や福祉機器導入など環境調整の指導も患者さまとご家族に行います。

 B 障害により「もう何もできなくなった」と感じている人、何もできないまま落ち込んでいる人が、作業活動に従事することで自分にもできることがあることに気づいたり、作業活動に携わることの喜びを再発見することで、不安を和らげたり、自信づけを行ったりします。障害があっても自分らしく生きることへの糸口とすることを目的として、患者さまが主体的に作業活動に参加できるように対応します。


 これからも、患者さまに満足していただけるよう、安全で質の高い訓練を提供できるように、全員で努力していこうと思います。