〔病院情報〕
高次脳機能障害支援普及事業
平成19年度第2回支援拠点機関等全国連絡協議会を開催して
学院長 中島 八十一



 さる平成20年2月29日に、三田共用会議所で高次脳機能障害支援普及事業「平成19年度第2回支援拠点機関等全国連絡協議会及び第2回厚生労働科学研究:高次脳機能障害者に対する地域支援ネットワークの構築に関する研究全体会議」が開催された。参加者は、厚生労働省及び国リハから連絡協議会役員として7名、各都道府県から連絡協議会委員等として108名、学識経験者15名、オブザーバー9名の合計139名であった。午前は幹事会と連絡協議会(厚労科研全体会議を兼ねる)がもたれ、午後は公開シンポジウムに充てられた。
 本事業は障害者自立支援法に基づく地域生活支援事業として全国展開が図られている一方で、モデル事業で経験を積んだ有識者により構成される研究班が各自治体の行政と連携を取りつつ地域支援ネットワークの構築に携わるという特異な事業様式をもち、今回の会議もそれを反映して2つの機関の共催となっている。
 連絡協議会は厚労省障害保健福祉部企画課宮本哲也課長補佐と国リハ岩谷力総長の挨拶で始まり、全国の10ブロックからの支援拠点機関設置と事業の取り組み状況について報告がなされたのち、モデル事業から参画している4県から地域における特色ある取り組み状況について報告がなされた。その結果、平成20年2月の時点で30都道府県で高次脳機能障害支援拠点機関が設置され、支援コーディネーターが配置されたことが明らかにされた。宮本課長補佐から20年度以降の事業推進について説明を賜ったのち、質疑応答に入り、活発な討論がなされ、盛況裡に終了した。

 午後の公開シンポジウムの前半部は「高次脳機能障害と就労」について4名のシンポジストが講演し、連続したケアの終着点である就労について全体の概要と地域での取り組みについて有意義な発表がなされた。また後半部は「当事者の家族の立場から」として当事者団体に所属する3名のシンポジストが講演し、当事者の目で見た事業のあるべき姿が訴えられた。
 平成19年12月に障害者施策推進本部は「重点施策5か年計画(平成20年度から24年度まで)」を新たに発表し、高次脳機能障害支援拠点機関の設置、地域での支援ネットワークの構築や認知リハビリテーションの技法確立等が数値目標を伴って掲げられた。国リハは全国高次脳機能障害支援普及拠点センターとして、この計画達成のためにふさわしい役割を果たす必要があり、本連絡協議会はその第一歩となった。