〔病院情報〕
『平成19年度国立更生援護施設看護師研修会』に参加して
病院看護部4階病棟 田嶋 千秋


 3年に一度開催される、国立更生援護施設の看護師のための、看護の質の向上を目的とした研修会に参加させていただきました。各センターから1名、当院から5名という12名の中に入れていただきとても感謝しています。国立という目的、更生援護施設という目的、国立施設をとりまく現状と課題、患者・利用者対応について、社会的な問題などタイムリーな内容で2日間盛りだくさんで充実した内容の研修でした。
 “国立施設を取り巻く現状と課題”では国立センターの利用者の減少が挙げられていました。遠くの国立施設より近年充実してきている地元の施設を選択して利用するようになってきたというのが起因とのことでした。利用者がサービスを選ぶ時代の到来であると実感しました。それと共に国立施設に高次脳機能障害をはじめ重複障害を持つ利用者が増加してきており、その対応を普及させているのが現状であるということでした。
 “看護業務におけるコミュニケーションについて”ではクレーム対応の基本を学びました。クレームに対しては初期対応が大事であること、不愉快にしたことを詫びると共に自分の責任で対応可能かどうかの判断をしながら、モンスターペイシェントかどうか・無理な対応を要求されていないか判断しなければならないことなどポイント的な講義でした。普段からの心がけは『自分が心身ともに健康であること(自分を守るのは自分だけ)』とのこと。良い看護を提供していくためにはやはり 自分自身がまず健康でいることが大切であることを確認しました。
 “障害者自立支援法について-利用者の視点を中心に-”は自立支援法制度がとても難しく毎年のように少しずつ変化してきていて理解困難でしたが、サービスは利用者が自己決定しますが、自己決定評価をどのように実施しているか等の課題はあるということでした。
 “施設における感染防止対策”は昨年度病棟で直接指導を受け、改善された内容の確認と効果的な手洗い・マスク着脱方法・ビニールエプロン着脱方法などすぐ役立つポイントを中心に凝縮された内容でした。また、2007年CDC隔離予防策のガイドラインでは、施設内(病院内)感染→医療関連感染へ変化し、在宅医療が増加していく中、地域で対策に取り組むことが必要とのことでした。
 “生活習慣病と障害者の健康管理”では疾病予備軍状態から放置することにより、疾患に進行し重症化・合併症が出て生活機能の低下を生じてくる。障害者においては身体活動の低下が基礎にありコントロールは困難だが、各関係学会で出されている治療ガイドラインを目標に運動を行っていくこと、他動的運動でも効果は得られるとのことでした。
 グループワークは2日間に渡り活発な意見交換ができました。初日は、「看護業務におけるコミュニケーションについて」がテーマで、①職場環境(看護師間の指導方法とメンタル面について)の課題では意見交換の後、メンバーのメンタル面の変化に気づくこと、人は悪意がなくても傷つくマイナスのスパイラルにはまってしまうことがあること、チームは組織の底辺であるから全体の問題として捉えていくこと、など金子恭子先生に助言をいただきました。2日目は、「生活習慣病と障害者の健康管理について」がテーマでした。別府重度障害者センター・伊東重度障害者センター・福岡視力障害センター・神戸視力障害センター・塩原視力障害センター・函館視力障害センター・秩父学園・当リハビリセンター・当入所者診療室での利用者の実際と健康指導の実際を資料とともに情報交換した後で指導困難な例である肥満について意見交換しましたが、どんな場面でも利用者本人に“気づき”を見出してもらうアプローチをしていくことが大切であるということなどを話合いました。
 初めてこのような研修会に参加させていただきましたが、国立更生援護施設の方とのふれあい、交流、情報交換ができたことは大きな収穫であり、いつの日か今度は他施設を見学に行くことができることを望みます。今回の研修にご尽力くださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。