〔研究所情報〕
構内ネットワークの再構築について
管理部企画課・研究所福祉機器開発部 田村 徹


 インターネットやメール等のサービスや運用管理を行う基幹情報システムは平成18年に更新し、安全性、利便性、耐障害性、運用管理保守性を高めてきた。具体的にはセキュリティゾーンを区別し、かつアクセス権限を含めたユーザの一元管理を行うこと、機器の二重化、予備機の導入により障害時の迅速な復旧及び運用経費を抑えること、また可能な限り標準的な技術、統一した機器で構成し、データやプログラムは一元管理ができることとした。特にセキュリティについては、外部公開ゾーン、一般サービスゾーン、高次セキュリティゾーンを設け、情報の重要性・機密性に応じてサーバを設置する領域を限定したことである。
 サーバ関係の安全性は高められたが、構内ネットワークについては不十分な状況である。今後、更生訓練所利用者、学院学生等の利便性向上として無線LANを設置する予定であるが、根本的に構内ネットワークの安全性、利便性を検討し再構築する必要がある。構内ネットワークはユーザやパソコン等の機器に応じてアクセス権限を設け、かつアクセスする場所を制限することが重要である。ユーザとは利用者、患者、学生、外部関係者(外部講師、外部共同研究者、研修生、委託業者等)、そして職員等であり、アクセスする場所は、それぞれの職場や会議室、研修室、教室等の共用場所を指している。アクセス制限を設け不正アクセス及びウイルス蔓延の防止を行うとともに、情報漏洩を防止することが重要となる。またセキュリティを確保した上でユーザの利便性への配慮も重要である。障害のある利用者の操作が容易であること、パソコンには可能な限り特別なソフトを導入しないこと、可能な限りアクセス認証回数は1回ですませること、ノートPCを会議室、教室等共用場所に移動しても同じ所属ネットワークで使用できること、WindowsやMAC等の各OSに対応することなどがあげられる。同時にイントラ、ファイルサーバ等の充実により情報共有を推進することも重要である。
 次に、ここ数年で無線ネットワークが急速に進歩しており実用化されつつある。無線ネットワークは、その通信距離に応じて無線WAN(第3世代携帯電話等)、無線MAN、無線LAN(IEEE802.11 a/b/g/n)、無線PAN(Bluetooth、UWB、ZigBee等)、短距離無線(ICタグ等)に分けることができる。今年度、無線LANの整備を図るべく準備を進めているが、次世代の無線LAN規格であるIEEE802.11nは100Mビット/秒以上の高速通信が可能である。正式版は2009年の予定であるが、すでに商品化されている。これだけ高速になると活用・応用範囲も増え、ますます安全性、利便性に配慮した設計が望まれる。
 情報環境整備を図る上で「個人情報保護法」「厚生労働省情報セキュリティポリシー」「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」など、様々な規定・ガイドラインへの遵守が求められる。また執行予算及び入札条件の厳しい状況の中でガイドラインに遵守することは大変な作業ではあるが、徐々に整備していきたいと考えている。
 最後にサーバ、パソコン、ネットワークの整備、運用管理や技術支援を行ってきて感じることは、解決していかなければならない技術課題も多いが、それにもまして組織を超えた関係者とのコミュニケーションが最も重要であるということである。使用する方々の要望やスキルに応じて、かつ業務分析を十分に行った上でないとせっかく導入した情報システムも十分に生かされないからである。リハサービスの向上に役立つように情報インフラ整備をより充実させていきますので、今後とも御指導、御協力を御願いしたい。