〔研究所情報〕
第35回国際福祉機器展H.C.R.2008における
研究所の展示について
研究所 障害工学研究部 外山滋


 毎年、研究所は東京ビッグサイト(有明)にて行われる国際福祉機器展にて出展しており、一時に数多くの障害者やその御家族、関係者の方々と接して情報交換が行える重要な交流の場となっております。今年もどの様な反響があるか期待しながら出展の準備をしております。研究所の出展は平成7年からですので、今年で連続して14回目の出展になります。基本的には、研究所が取り組んでいる障害者の社会参加とQOLを促進するための支援技術・機器・システムに関する研究開発に関する紹介をしておりますが、毎年、視点を変えつつ時代の要求に応えた、あるいは先取りした展示になる様に工夫しています。本年は、障害者の「動かしたいという思いを機器に直接伝えて動かす」という夢のある技術を紹介する予定です。具体的には以下の展示を主として予定しております。

 

(1)脳波からの情報による生活環境制御システム(BMI-ECS)
脳から情報を読み取って機械を操作する技術であるブレイン-マシン・インターフェイスを用いた生活環境制御システムの展示を行ないます。このシステムはインテリジェントハウス構築のための要素技術として開発中であり、本年はじめにはメディア発表も行われました。展示内容としてはBMI-ECSシステムに関する説明、四肢麻痺の方による使用時の映像や実機によるデモを予定しています。

 

(2)装着者の歩幅に合わせて動く股義足
電池を電源としてモータを駆動し、股継手とひざ継手を動かす股義足を紹介します。この股義足では、健側下肢の動きをセンサーで読み取り、義足の振り出しを調節するようにコンピュータで制御しています。股義足の利用者による歩行実験を重ね、なめらかに動くように工夫されています。このシステムを是非ご覧ください。

 

(3)筋電義手
筋電義手は筋肉を動かすことで発生する電気信号を利用して手先のモーターを操作する義手です。日本においても、今年度から労災による片側上肢切断の方に研究用支給が始まるなど、少しずつ普及の動きが出始めています。展示では、模擬筋電義手による操作体験や筋電義手ユーザーの映像をまじえて筋電義手の有用性を紹介いたします。

 

 また、研究所のブースでは、これらとは別に福祉機器の安全安心をテーマとしたコーナーを一角に設ける予定でおります。このテーマは単に国リハだけではなく、テクノエイド協会や製品評価技術基盤機構、日本福祉用具・生活支援用具協会、日本福祉用具評価センターなどの福祉機器の安全安心に関係した組織が研究所ブース周辺に集まり、「安全安心通り」を構成し、共通の安全安心をテーマにして展示する取り組みとして企画されています。

 

  今年の機器展の出展者総数は529社(国内478社、海外51社)の予定で、来場者数は13万人にのぼる見込みで、ほぼ昨年と同規模のものとなる予定です。展示会の開催時期は毎年前後しておりますが、今年は9月24日(水曜日)〜26日(金曜日)の間で行われ、時間は午前10時〜午後5時となります。入場は無料で当日の登録も可能ですので、是非ご来場の上、研究所のブースにもお立ち寄り下さい。研究所のブースの場所は東6ホールで、昨年と同様に3コマのブースとなります。なお、国際福祉機器展の最新情報や交通案内などの詳細情報は国際福祉機器展のホームページhttp://www.hcr.or.jp/ を御参照ください。