〔更生訓練所情報〕
野外訓練を終えて(就労移行支援)
指導部指導課  会田 孝行
           小出 千鶴子


はじめに

 7月23日(水)〜24日(木)、東京YMCA山中湖センターにて、就労移行支援の利用者を対象に野外訓練を実施しました。この野外訓練は、「日頃の生活・訓練場面とは違う空間において、利用者の自主性と協調性を養う機会を提供する。また、自然環境のなかで心身の健康の増進やリフレッシュを図る」ことを目的とし、利用者44名、職員26名の計70名が参加しました。

 

事前準備

 この野外訓練の実施にあたり、炊事、キャンプファイヤー、レクリエーションの3つのグループをつくり、それぞれのグループに分かれて、企画内容を決めるために計8回に渡る打合せを行いました。
 炊事班では、メニューを作成し、食材の種類や量を考え、当日の炊事作業の役割分担を決めました。キャンプファイヤー班、レクリエーション班ではプログラム及びゲームの内容等について相談をし、当日の司会進行の方法を決めました。どのグループも参加した皆が楽しむことができるように、様々な意見を交わしていたことが印象的でした。
 また、中間報告会、最終説明会では参加者全員が集まり、各グループの代表者が参加者全員に、各グループで相談して決めた内容の報告をしました。普段、グループで活動をする機会がなかなかない方にとっては、こうした機会は貴重な経験の場であると思います。
 今回の参加者は、肢体、視覚、聴覚、内部、高次脳機能障害とその障害も様々で、キャンプ場の施設を利用することに不安を感じていた方もおられたので、6月に利用者代表者7名、職員5名で下見を実施しました。東京YMCA山中湖センターは3年ぶりの利用でしたが、大浴場が新築されていたり、キャビン前の通路が舗装されていたりと以前よりも利用しやすくなっていました。下見での状況確認をもとに、トイレやお風呂の利用方法について検討を重ね、当日に備えました。


いざ山中湖へ

 時期柄、毎年気になるのが天気です。雨に備えたプログラムも考えてはいたのですが、やはりキャンプは晴天の下でこそ気持ち良く行なうことができるものです。幸い2日間とも雨が降ることなく、程よい天気の中で実施することができました。
 野外訓練はグループで相談してきた内容を実行に移す場であり、できるだけ利用者の皆さんが中心となるように進めました。
 1日目の夕食はグループごとに分かれての自炊。バーベキューに焼きそばとキャンプでは定番のメニューではありますが、時間内に失敗せず出来るかしらという職員の心配をよそに、皆さんがそれぞれの力を発揮し、予定よりずっと早く、完成。いつもの食事とは違い、皆で協力して一緒に作った料理は格別な味でした。

 

(写真1)参加者一同

 

 夕食後はキャンプファイヤー。さいころを転がして、出た目に書かれたテーマでそれぞれが話をします。普段、会話をする機会がない人たちの意外な一面を知ることができ、それがとても良かったという感想がたくさんありました。最後はこれまた定番の花火。線香花火に興じていると、いつの間にか仕掛け花火も上がり、童心に戻った一時でした。

 

(写真2)意外な一面がちらりほら

 

 2日目のレクはボッチャにボート。ボッチャではチーム対抗ですが、負けたチームからボートに乗れるとあって、負けても嬉しそうに湖に向かう姿がありました。とは言え、決勝戦はさすがに白熱し、優勝チームには閉村式で表彰状が授与されました。車椅子利用の方は特に普段あまり経験することが出来ないボートですが、大半の方が湖の向こうに見える大きな富士山をバックに自然を満喫しながら楽しまれました。

 

(写真3)ボートでの一時

 

 東京山中湖YMCAセンターは、名前の通り山中湖がすぐ隣にあり、その向こう側には富士山を望むことが出来るロケーション抜群のキャンプ場です。その中で過ごした2日間は、参加した利用者の皆さんにとって良い思い出になったとともに、今後の訓練や生活に向けてリフレッシュすることができ、目的は達成できたと思います。


おわりに
 最後になりますが、3年ぶりに1泊で野外訓練を実施することに不安もありましたが、事故や怪我もなく無事に終えることができたのは、皆様方の多大なご協力のお陰と感謝しています。ご協力ありがとうございました。