〔更生訓練所情報〕
「平成20年度更生援護施設理療科教官研修会」実施報告
更生訓練所 理療教育部  柴田 均一


 今年も標題の研修会が8月4日(月)〜8日(金)までの間、函館、塩原、神戸、福岡の各視力障害センターから理療科教官が集い、当センター更生訓練所において実施されました。その主な内容は次のとおりです。

 

【教科教育研修会】 8月4日(月)〜6日(水) 参加者26名
テーマ:「理療を取巻く異分野との接点から理療師としての感性を磨く」
−伝統の技を現代の理療教育に活かす−


 8月4日(月)
基調講演「気づき」を絶やさない教育を創る −教員養成24年の軌跡−
講師 東京医療専門学校校長 村居 眞琴氏
研究発表「鍼実技教育における指導内容のばらつきについて」
報告者 当センター理療教育部 加藤麦教官

 

 8月5日(火)
講演「漢方総合療法の考え方」−漢方流食生活を中心として−
講師 漢方総合療法研究所所長 古村 和子氏
講演「古武術を活かした身体運動のメカニズム」
−運動の実演から介護応用まで−
講師 武術研究家、神戸女学院大学特別客員教授
甲野 善紀氏

 

 8月6日(水)
研究協議「専門分野を教授するに当たっての問題点と対応策について」
第1分科会 経絡経穴概論(臨床取穴学を含む)
第2分科会 東洋医学概論、東洋医学臨床論
第3分科会 あん摩マッサージ指圧理論、はり・きゅう理論

 

【臨床教育研修会】 8月4日(月)〜8日(金) 参加者7名
テーマ:「各種治療形式の治療実践から実技指導のあり方を検証する」
8月4日(月)〜5日(火)は、教科教育研修会と共通。
8月6日(水)
講義と実技「精神科領域における鍼治療の応用と実技指導」
講師 明治国際医療大学准教授 福田 文彦氏

 

 8月7日(木)
講義と実技「経絡治療の実際」−アレルギー疾患を中心として−
講師 はり灸峰鍼堂院長、日本伝統鍼灸学会理事・評議員
鍼灸経絡研究紘鍼会会長 松本 俊吾氏

 

 8月8日(金)
研究協議「鍼実技教育における指導内容のばらつきについて」

 

 研修会初日の基調講演では、我々同様、社会に貢献し得る理療師の育成を目指して長年教育活動に携って来られた村居先生から民間養成学校ならではの経営の厳しさ、教育場面における人材活用の工夫など、大変貴重な話を聞くことができました。村居先生のお言葉を借りれば、「同校が掲げるポイントには三つの柱がある。それは入口:いかに多くの学生を集められる魅力ある学校であるか、中身:いかに充実した教育を施せる体制を持てるか、出口:いかに卒業生のキャリアサポートとそのマンパワーの活用ができるか、です。」というのが骨子でした。この三つの要素は当然といえばそのとおりかも知れませんが、それをどこまで具体化し実践するかは私達にも突きつけられている急務の課題であると再確認させられました。
また、教科教育研修会、臨床教育研修会全般を通じて、それぞれのテーマに沿った多様な外部講師を迎え、現代の理療師に求められる病態についての講義と実技指導が行われ、参加した各教官の今後の教育活動、臨床活動に大いに参考になったものと思います。

 最後に、このような研修会のメニューの中では、ともすると地味な部分に属すると解される趣もあろうかと思いますが、5センターの理療科教官が一堂に会して、仕事上日々直面している種々な問題点の情報交換を行い、その対策を模索すべく議論し合う研究協議の意義の大きさは看過できないものであると感じた次第です。

 

(写真)5センターの理療科教官一堂に会し議論しました