〔研究所情報〕

第23回リハ工学カンファレンス参加報告

研究所障害工学研究部 研究員 中山 剛

 

 

 リハ工学カンファレンスは日本リハビリテーション工学協会が主催して年に1回のペースで開催されています。数多くの障害当事者や工学・医学・福祉・教育・行政などの多分野の専門家が参加するカンファレンスです。第23回リハ工学カンファレンス(The 23rd Japanese Conference on the Advanced of Assistive and Rehabilitation Technology,23rd JCAART)は「 QOL for ALL (全ての人の生活の質の向上)」をテーマにして2008年8月27日から29日にかけて朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)で開催されました。
 「電動車いす」「排泄」「高齢者」「操作装置」「住宅改造」「発達障害」「視覚障害」「Mobility and Seating」など30のセッションにてリハ工学に関連する様々な口頭発表が行われました。福祉機器開発部の井上部長が「Standardization of J-PIADS (Psychological Impact of Assistive Devices Scale) 」をテーマに発表するなど、筆者を含め数多くのセンター職員がそれぞれをテーマに発表しました。口頭発表以外にもポスターや実機を展示して説明するインタラクティブ展示のセッションや「福祉機器コンテスト2008」の一次選考通過作品の展示、福祉用具・支援技術・リハ工学関連機器の展示など、様々な企画や機器展示が行われました。例えば、日本リハビリテーション工学協会内の専門部会(SIG,Special Interest Group)のセッションや「福祉機器・用具と支援技術によるQOLの向上」をテーマにしたシンポジウム、「誰もが納得する福祉機器・用具のコーディネートとは?」をテーマにしたラウンドテーブルディスカッションが開催されました。その他にも内閣府参事官(ライフサイエンス分野担当)の重藤和弘氏による基調講演「2025年までを視野に入れた先進的在宅医療・介護の実現のための支援機器の研究開発について」やDr. Jon Pearlman氏(University of Pittsburgh)による基調講演「QOLテクノロジー(生活の質を向上させるための技術の研究開発)」、当センターの諏訪研究所長による特別企画「福祉機器・用具における人間を対象とした臨床及び研究開発・評価の必須事項」が開催されました(図1)。この特別企画は大会最終日の最後の時間帯に実施されたにも関わらず、数多くの聴衆が参加され熱心に聞き入っていました。実際、講演後には活発な質疑応答がなされるなど、倫理審査委員会や指針に対するリハ工学関係者の関心の高さが伺えました。
 また、国際ボランティア活動「空飛ぶ車いす修理技術国際交流会」も同時開催されました。「空飛ぶ車いす」とは車いすを修理して海外へ贈るという工業高校生による国際的なボランティア活動です。カンファレンスと同時開催で活動の紹介や車いす修理の実演などが実施されました(図2)。なお、空飛ぶ車いすのホームページアドレスは http://www.nisshasai.jp/soratobu/ です。
 このように2008年のリハ工学カンファレンスは当センター職員やOB・OGも数多く参加しました。加えて、当センター研究所補装具製作部OBの東江由起夫氏(新潟医療福祉大学)が大会の副実行委員長をお務めであるなど当センター関係者が大会運営にも携わった大会であり、盛況裏に終了致しました。2009年の第24回リハ工学カンファレンスは2009年8月26日から28日の日程で国立身体障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)にて開催される予定です。
 なお、日本リハビリテーション工学協会のホームページアドレスは、 http://www.resja.gr.jp/です。

 

(写真1)特別企画「福祉機器・用具における人間を対象とした臨床及び研究開発・評価の必須事項」の講演を行う諏訪研究所長
図1
    
 特別企画「福祉機器・用具における人間を対象とした臨床及び研究開発・評価の必須事項」の講演を行う諏訪研究所長
(写真2)同時開催された国際ボランティア活動「空飛ぶ車いす修理技術国際交流会」
図2  同時開催された国際ボランティア活動「空飛ぶ車いす修理技術国際交流会」

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