〔国際協力情報〕
コロンビア共和国副大統領のセンター訪問
管理部企画課



 去る10月30日(木)に中米コロンビア共和国のフランシスコ・サントス副大統領が当センターを訪問されました。本年は、1908年(明治41年)に日本とコロンビアの国交が樹立されてから100周年にあたります。それを記念して国内でも様々な行事が開催されている丁度この時期に副大統領が来日されることになりました。今回は、コロンビアにおける地雷被災者支援にJICAを通じて協力している当センターのリハビリテーションを視察することと、対人地雷の撤去工機のメーカーの視察が主な目的で来日されました。
 コロンビアは対人地雷・不発弾による被災者が世界で最も多い国です。これは長年に渡る非合法武装勢力と政府軍の衝突の結果であり、その被害を受けているのは農村地帯の農民や子供達です。人々が農村地や山間部で被弾すると、医療機関までの搬送が難しく、その間の感染により傷が更に深刻化するケースが多いことや、急性期治療からリハビリテーションへの連携の問題等が存在します。
 このような状況を改善するために、大統領、副大統領府、省庁でこの問題に取り組んでいます。日本はJICAが地雷被災者を中心としたリハビリテーション強化プロジェクトとして支援を行っており、それに当センターが協力しています。
 本年1月には事前調査団として岩谷総長がコロンビアに派遣され、現地の実情を調査し、今年度から具体的な協議や支援を開始しています。
 サントス副大統領は元々、ジャーナリストであり、過去には反政府武力組織に誘拐された経験も持ち、誘拐の被害者や地雷被災者を救う活動に従事されてきた方です。
 視察には、在日本コロンビア大使も同行されました。岩谷総長がコロンビアに滞在した際は、治安の悪さから護衛官が2人ついて移動していたことを聞いていましたので、副大統領が日本にいる間も警備が厳しいのかと思っておりましたが、日本ではそのような心配はないと、気軽に都内から電車で所沢までお越しになられました。前述したJICAとの関係もあり、JICA本部の中南米部長と担当職員にも同席していただき、総長以下幹部職員との懇談の後、地雷被災支援に関連する部門として補装具製作部、生活訓練、理学療法をご覧いただきました。補装具製作部ではこの2年間にJICA集団研修コースでコロンビアから2名の研修員が義足の製作研修を行った事や筋電義手、義足の歩行分析の設備を紹介しました。生活訓練については、地雷が爆発して手足を傷つけると同時に目も傷ついて視覚障害になる人々がいるため、視覚に障害がある方々の生活訓練も大切であるということで、家事訓練やコンピュータ訓練の場面をご覧いただきました。最後は義足による歩行訓練の場面を理学療法室で見ていただきました。
 見学の後、総長やJICAの方々との懇談の中で、コロンビアでは障害がある人々に対する社会の関心は薄く、副大統領としては何とか改善したいと考えていると意欲を示されていました。
 今回は短時間での視察でしたが、コロンビア側の代表者としてこれから開始する技術協力の内容についてのイメージを持っていただき、プロジェクトがより効果的に実施されることに結びつくよう願っています。

 

(写真1)補装具製作部で副大統領がシリコーン製の装飾義手を手にとっているところ
補装具製作部で副大統領がシリコーン製の装飾義手を手にとっているところ
(写真2)更生訓練所で自立訓練を視察しているところ
更生訓練所で自立訓練を視察しているところ