〔研究所情報〕
日仏先端科学シンポジウム(JFFoS)参加報告
研究所・感覚機能系障害研究部感覚認知障害研究室 神作憲司


 

 2009年1月24日−26日に、葉山にある湘南国際村センターにて行われた第3回日仏先端科学シンポジウム(Japanese-French Frontiers of Science: JFFoS)に参加しました。JFFoSとは、将来の学術を展望し、日仏両国の若手研究者による異分野間の討議の機会を設けることにより、新しい学問領域の開拓に資する、というもので、日本側/日本学術振興会、フランス側/外務省・高等教育研究省・国立科学研究センターの主催により行われています。Medical/Neuroscience, Biology/Life Science, Chemistry/Biochemistry, Theoretical and Applied Mathematics/Informaticsなどの広い学術分野から、日仏計およそ80名の若手研究者(原則45歳以下)が集いました。私の専門領域であるMedical/Neuroscienceのシステム脳科学からは、理化学研究所脳科学総合研究センター・理論統合脳科学研究チーム・中原裕之チームリーダーと、北海道大学医学研究科・認知行動学分野・田中真樹准教授が参加されました。
 参加のお誘いを頂いたのが2008年の5月頃で、その後10月の日本側参加者による事前検討会を経て、今回のシンポジウムとなりました。シンポジウムでは、iPS Cell and Stem-cell Therapy, Molecules Affecting Behavior, Social Choice and Justice, Hybrid Materials, NMRなど8つのトピックによるセッションを軸に、ポスターセッションも合わせて相互交流の機会が与えられました。スケジュールはタイトなものでしたが、終わってみるとあっという間という感覚でした。そしてその運営は、細部にまで行き届くすばらしいものでした。
 わたしたち国立障害者リハビリテーションセンター研究所の「リハビリテーション」とは、そもそもの理念が横断的であり、私の研究室でも常日頃から、医学・工学など異分野交流を深めながら研究を行ってきています。ですから、私にとってJFFoSの理念は、とても受け入れやすいものでした。それにしてもJFFoSは、さらに幅の広い分野から、それぞれ大変に深い掘り下げをしてきている研究者が集っていました。セッションでのそれぞれのエキスパートからの質問も、時には多少容赦が無いながらも、的確でしかも発展的で、学ぶべきことも多いものでした。それらの異分野間の討議を、リハビリテーションの視点から有機的につなぎ、社会に還元できるあらたな研究へと展開できないか、と考える日々でした。
 湘南国際村センターでのシンポジウム終了後は、南麻布にあるフランス大使館に移動し、フェアウェルパーティーへとご招待いただきました。石灯籠が見える部屋でのパーティーは、国を超え、分野を超えての話に花が咲きました。大使館近くの広尾駅は、私が中学・高校と通学に使っていたところです。今回の参加者の一人の神戸大学大学院自然科学研究科・伊藤洋一准教授(Earth Science)とは中高と同級生で、事前検討会にて高校卒業から20年以上を経て始めて再会するという、ちょっと不思議な偶然もありました。


(写真1)会場(湘南国際村センター)入り口付近

会場(湘南国際村センター)入り口付近

(写真2)ポスターセッションでの風景

ポスターセッションでの風景