〔病院情報〕
平成21年度高次脳機能障害支援普及事業
第1回支援拠点機関等全国連絡協議会開催報告
 


 さる平成21年7月7日(水曜日)10時から12時にかけて、当センター学院において高次脳機能障害支援普及事業「平成21年度第1回支援拠点機関等全国連絡協議会及び第1回厚生労働科学研究:高次脳機能障害者の地域生活支援の推進に関する研究全体会議」が開催されました。参加者は、厚生労働省及び国リハから連絡協議会役員として7名、各都道府県から連絡協議会委員等として56名、学識経験者14名、オブザーバー41名の合計111名でした。
 連絡協議会は厚労省社会・援護局障害保健福祉部企画課名越課長補佐と当センター岩谷総長の挨拶で始まり、名越課長補佐より平成21年度高次脳機能障害支援普及事業の運営方針について説明があり、本年度は、従来から開催している支援拠点機関等全国連絡協議会とは別にして、支援拠点機関等の支援コーディネーターの職務の向上と情報交換を通じた支援施策の均てん化を目的とした「支援コーディネーター全国会議」を当センターの事業として開催することについて触れられました。
 続いて、当センター及び全国の12ブロックから平成20年度事業並びに平成21年度事業計画が報告されました。その中でも福岡県の人口506万人を対象にした高次脳機能障害の実数調査(調査対象:年齢6〜69歳、支援を要しない方、身体に重度障害を負っている方を除く。)が、産業医大の蜂須賀教授を中心にして実施され、その結果、高次脳機能障害者が全国に現在68,048人いること、また、毎年人口10万人に対して2.3人、全国に直すと2,800人程度の発症が推計できることが判りました。これは様々な行政施策を講じる上で、現時点では最も信頼できる数字だといえます。
 さらに、厚生労働省科学研究班の平成21年度事業計画では、①障害者施策推進本部の決定を受けて、認知リハビリテーションの医学的評価と技法と評価尺度の開発に取り組むこと、②高次脳機能障害を持つ若年層(小・中・高校生)の就学支援の研究班を構成し、就学及び復学の手段及び方法の開発に取り組むこと、③失語症を持つ障害者の自立と社会参加に関する実態調査を実施することが説明されました。
 平成19年12月に障害者施策推進本部は「重点施策5か年計画(平成20年度から24年度まで)」を新たに発表し、全都道府県での高次脳機能障害支援拠点機関の設置、地域での支援ネットワークの構築や認知リハビリテーションの技法確立等が数値目標を伴って掲げられました。国リハは全国高次脳機能障害支援普及拠点センターとして、この計画達成のためにふさわしい役割を果たす必要があり、本連絡協議会はその礎となります。


(写真)協議会の様子