〔研究所情報〕
第36回国際福祉機器展H.C.R.2009への出展について
研究所 感覚機能系障害研究部・感覚認知障害研究室 神作 憲司


 平成21年9月29日(火曜日)から10月1日(木曜日)の3日間、東京国際展示場「東京ビッグサイト」(有明)に於いて、第36回国際福祉機器展H.C.R.2009が開催されます。国際福祉機器展H.C.R.とは、「ハンドメイドの自助具から最先端技術を活用した福祉車両まで世界の福祉機器を一堂に集めた国際展示会」であり、全国社会福祉協議会、保健福祉広報協会の主催、厚生労働省、経済産業省、総務省等の後援にて行われるものです(http://www.hcr.or.jp/exhibition/exhibition2009.html)。
 研究所は、このH.C.R.に、第22回(1995年開催)から連続して参加しており、今年は15回目の出展という節目の年となりました。毎年テーマを変えつつも、障害のある方の社会参加の促進とQOLの向上に向けた支援技術・機器・システムに関する研究開発の紹介・展示を行ってきています。H.C.R.は、多くの患者・障害者やその御家族、関係者の方々と直接交流し情報交換できる場であり、よりニーズに応えた研究開発を行っていくための重要な機会と考えています。
 今年のテーマは、『脳・自立する力‐神経科学が拡げる福祉機器の可能性』とさせていただきました。「神経科学」は、近年の急速な発展に伴い、それまでの基礎科学の側面だけでなく応用科学の側面を持つにいたっています。この神経科学が、リハビリテーションや福祉の分野へと展開し、障害のある方の自立支援や社会参加へと着実に貢献していくことを期待してのテーマ設定です。今回の展示では特に、研究所の最近の成果のなかから神経科学に関連したものを、「脳波で操作:ブレイン−マシン・インターフェイス」、「運動機能補助からニューロリハビリテーションへ」、「認知機能の拡張に向けて」の3つのコーナーでご紹介したいと考えています。
 「脳波で操作:ブレイン−マシン・インターフェイス」のコーナーでは、脳からの信号を読み取って機械を操作する技術であるブレイン−マシン・インターフェイスを用いた生活環境制御システム(BMI-ECS)の展示を行ないます。この技術により、運動に障害をもった方でも身体を動かすことなく機械を操作することが出来ます。このBMI-ECSを、実空間とバーチャルリアリティ(VR)空間で実現化したシステムのデモをお見せする予定です(感覚機能系障害研究部)。
 「運動機能補助からニューロリハビリテーションへ」のコーナーでは、パネルにて脊髄神経の機能解析からみた歩行機能再獲得の試みを解説します。また、歩行補助訓練器の展示や他動的歩行動作訓練器「ロコマット」を用いたリハビリテーションのビデオ上映を予定しています(運動機能系障害研究部)。
 「認知機能の拡張に向けて」のコーナーでは、高次脳機能障害者など認知機能に障害のある方の就労や職業訓練、日常生活における自立支援を目的として開発された携帯情報端末(PDA)ソフトウエアと携帯電話アプリケーションを展示します(障害工学研究部)。また、青年期の自閉症当事者の方を対象に、携帯電話のアラーム機能を用いて自発的な行動開始を支援した事例をパネルで紹介します。本支援は、国立秩父学園と共同で実施した取り組みです(福祉機器開発部)。
 また、今年はH.C.R.への15回目の出展とのこともあり、「国リハとH.C.R.15年」のコーナーを設けます。出展のきっかけや過去の出展テーマの推移、過去のパンフレット等の紹介を予定しております。14年前に出展したPC9801で動くコミュニケーションソフトやモールスキーボード、最近開発した透明文字盤によるコミュニケーション支援ソフトなどを並べてご覧いただく予定です(福祉機器開発部)。
 今年のH.C.R.への出展社数は491社(15ヶ国1地域、国内437社、海外54社)の予定です。昨年比7%程度の規模縮小となったものの、来場者見込みは昨年同様に12万人にのぼり、これは世界一の規模だそうです。入場は無料(入場者登録制:事前もしくは当日)で、開場時間は午前10時から午後5時です。研究所のブースは、東6ホール(6-18-09)に用意します。是非ご来場のうえ、研究所のブースにもお立ち寄り下さい。スタッフ一同、心よりお待ちしております。