〔更生訓練所情報〕
平成21年度前期授業公開実施報告
理療教育・就労支援部理療教育課 谷口 勝


 去る8月24日から28日までの5日間、授業改革のための取組みの1つとして前期授業公開が実施されました。この期間に理療教育課の職員と非常勤講師により延べ58時間の授業見学が行われ、加えて8月26日には、小学校や盲学校等において視覚障害者の教育に携わっていらっしゃる10名の方々に各2時間、延べ20時間の授業をご参観いただきました。
 また、外部からご参加いただいた皆様には、授業参観に加え理療教育課程の概要、視覚障害者のパソコン指導、視覚障害者の学習手段についてご紹介し、当センター理療教育課程について理解を深めていただきました。本事業は、平成15年度から教官による授業見学として実施されておりますが、教育に携わっていらっしゃる方々に参観いただくのは初めての試みであり、貴重なご意見をいただくことができました。
 期間内に実施された理療教育課の職員と非常勤講師による授業見学では、授業の状況について、①授業準備・内容、②利用者への対応、③発問についての3つの観点について質問し、①今後の授業に活用したい、②参考にはなった、③もう少し工夫したほうが良い、④改善すべき点が多い、の4段階の評価基準によって回答をいただくと供に授業についてのコメントを付記し、授業後に各授業担当者へフィードバックすることによって、授業改善の一助としました。
 アンケートの集計結果では、各質問について評価基準①あるいは②の授業が多くあったものの、②利用者への対応、③発問については、評価基準③に該当する授業がみられたことは今後の課題といえます。
 外部の方々を招いた26日の授業公開では、10時から理療教育・就労支援部長の主催者挨拶に引続き、教務統括官から理療教育課程の概要についての説明が行われました。その後、10時50分から各教室に分かれ、3時間目と4時間目の授業を見学していただきました。
 今回ご参加いただいた皆様には、理療教育課の職員と非常勤講師による授業見学で実施したアンケートと同様、①授業準備・内容、②利用者への対応、③発問についての3つの観点について質問し、回答をいただきました。
 アンケートに付記されたコメントの一部を抜粋してご紹介いたしますと、「授業に必要な備品、資料を事前に用意されていて、時間をムダにされないように配慮されている。」、「生徒の状況に応じた説明、例のあげ方、質問の仕方がよい。」、「利用者の能力・経験を踏まえて、工夫・努力している様子が広く伝わって来る授業であった。」といった声が多くある一方、「今回見学させていただいた授業に関してですと、利用者への対応や発問は少ないように感じました。」といった回答もあり、今後も授業改善に向けた努力が必要であると感じました。
 26日の午後からは、視覚障害者のパソコン指導と視覚障害者の学習手段について当センターの状況をご紹介いたしました。パソコン指導では特別教室における取組、学習手段では文字入力手段に関する機器開発について紹介いたしました。ご参加いただいた皆様からは、「特別学習室のデータベースは素晴らしい。」、「パソコンを使用した授業や過去問のデータベース作成など、労力と工夫を感じました。」、「Pen-Talkerは様々な可能性をひめている」、「授業指導だけではなく福祉器機の開発にも力を尽くされていることに感服いたしました。」といった声をいただきました。
 今回の前期授業公開では、職員並びに教育に携わる外部の方々から授業改善に向けた貴重なご意見を多数いただくことができ、所期の目的を果たすことができたと考えますが、ここで得られた課題について各教官が意識し解決に向けた努力を進めることが肝要であると思います。
 また、後期には、就労移行支援(養成施設)におけるサービス提供体制の強化を図るため、授業公開と併せて福祉関係者や就労支援の関係者に参観いただき、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の雇用に関しての理解を深めていただく企画を立てることにより、就労移行支援を円滑に進めるようにしたいと考えております。今後も本企画を継続し、よりよい支援体制づくりを目指していきたいと思います。