〔病院情報〕
病院紹介シリーズ⑲ 臨床検査部門
 


 臨床検査には大きく分けて2つの部門に分かれます。ひとつは患者さまから採取したモノについて検査を行う検体検査、もうひとつは患者さまに直接触れて検査を行う生理検査です。当検査室の生理検査部門では主に心電図検査、呼吸機能検査、脳波検査、神経伝導速度検査、サーモグラフィー検査などを行っています。
 今回は生理検査部門、特に心電図検査について紹介します。ひとことで心電図検査といっても実はたくさんの種類があります。
 一般的なのは安静時心電図検査。ベッドの上に仰向けに寝て頂き手首、足首、胸の前に電極を計10箇所付けていきます。以前は、白いクリームを電極と体表の間に塗っていましたが、現在は含湿性のスポンジパッドを用いますので検査終了時、クリームを拭き取る手間がなくなりました。機器の性能も格段に向上してきていますので検査開始から終了まで1分間程度で終了してしまうことも多いのです。そこで「もう少し寝ていたかったのに・・・」という、うれしいクレームが聞けるようにもなりました。(写真 1)
 次に、運動負荷心電図。心電図電極をつけたまま、自転車漕ぎをする自転車エルゴメーター負荷心電図検査、階段の上り下りをするマスターステップ検査があります。足でペダルを漕ぐことのできない時は手でハンドルを回す上肢エルゴメーター、自転車のサドルに座る姿勢がとれない時は上肢を固定しながらペダルを漕ぐ下肢エルゴメーターと多様な負荷装置を準備しています。(写真 2(負荷心電図検査は心臓に負荷をかけた状態を作り出し、その状況でどのように心電図波形、心拍数、血圧などが変化していくのかをみる検査です。患者さまの急変にすぐ対応できるように救急カートを用意し、医師、看護師、検査技師が見守る中で検査が進みます。心臓の負担になるような運動をしてもらうのが第一目標ですので、患者さまにとってはつらい検査となります。実は周りで立ち会っているスタッフも声掛けをしているうちに次第に力が入り、検査も続けて3例目となると患者さまより汗をかいてしまう・・・不思議な検査です。
 24時間心電図検査はHolter博士が発明したのでホルター検査ともよばれ、その名の通り24時間、片時も離れず心電図を記録してくれるレコーダーと共に過ごす検査です。胸部から腹部にかけて5箇所の電極とコードでつながったレコーダーを腰に固定しセットします。データ記憶装置部分のレコーダーは持っていることが負担にならないような大きさ、2つ折の携帯電話位の大きさです。(写真 3(検査中、お風呂はもちろんシャーワーも厳禁ですので夏場、クーラーの効かないところでは歓迎されない検査ですが、不整脈や狭心症の検査には必要不可欠な検査になります。さらに、ペースメーカーの動作状況も把握することができますのでペースメーカー植え込みをなさっている患者さまにとっても大切な検査になります。
 他にも当検査室ではR−Rインターバル検査、圧縮心電図検査も行っていますが、心臓疾患専門病院には、ベクトル心電図、加算平均心電図、食道心電図、心内心電図とまだまだたくさんの種類の心電図検査があり、さまざまな角度から心臓を解析する検査が行われています。
 現在、当検査室で行っている心電図検査は特に痛みの伴う検査ではありませんが、患者さまにとってはどんなに検査前に説明をしても怖い検査の1つであることには変わりません。「電気が体に通るんですよね。」「ビリッとしませんか?」などの質問も意外に多いものです。いかに検査内容を的確に説明し、安心して検査を受けて頂くかが技師の腕の見せ所です。検査終了時に「今日は意外と早く終わったな。」と感じて頂けるような丁寧で手際の良い検査を、毎日スタッフ一同、心がけています。

(写真1)安静時心電図検査
写真1 安静時心電図検査
 
(写真2)上肢・下肢・自転車エルゴメーター
写真2 上肢・下肢・自転車エルゴメーター
 
(写真3)ホルター検査
写真3 ホルター検査