〔研究所情報〕
第24回リハ工学カンファレンスを開催して
第24回リハ工学カンファレンス事務局 研究所福祉機器開発部 相川孝訓


 第24回リハ工学カンファレンスは、平成21年8月26日(水曜日)〜28日(金曜日)に「飛翔−いま考える、当事者発のリハビリテーション工学」をテーマとして開催されました。リハ工学カンファレンスは日本リハビリテーション工学協会の主要な事業の1つで、年1回程度の頻度で、日本各地で研究発表および情報交換大会を開催しており、通常は8月末に開催されます。参加者は、当事者は勿論のこと、エンジニア、リハビリテーションの現場や障害者教育の現場で働くスタッフなど多くの職種の方々が集まります。カンファレンスは通常の学会とは異なり、学術発表よりも当事者に役立つような話題が歓迎され、気軽な服装での参加が推奨されています。所沢では第8回リハ工学カンファレンスの開催から16年ぶりの開催になりました。大会長に諏訪基研究所長、実行委員長に井上剛伸福祉機器開発部長、福祉機器開発部を中心にして研究所、学院や会計課の方々を始めセンター内外の方々にご協力頂き、開催にこぎつけることが出来ました。ボランティアとして、内部では学院の学生さん、外部では東洋大学と早稲田大学の学生さんにご協力を頂きました。
 2年前から準備を始めましたが、実際に動き出したのは1年前でした。準備不足のため、小さなトラブルがいろいろとありました。まだ、決算が確定していませんが、おかげさまで、赤字にはならない様です。参加者ですが、16年前に国リハで開催した前回の第8回リハ工学カンファレンスでは600人弱の参加者があったため、今回はこの9割程度の参加人数を予想していました。しかしながら、予想は大幅に外れ、391人の参加者でした。ただ、今回は当事者の講演者が多くなるような企画を数多く立てたために、講演者やスタッフ、ボランティア等を含めれば合計して647人になるため、そんなに大幅な減少ではないと思われます。今回のカンファレンスは、多くの障害当事者の方々に発表をお願いしました。運営側としては情報保障や当事者対応についての考慮が必要になり、どこまで対応出来るか不安でしたが、要約筆記や手話通訳、論文集の電子テキスト版作成などは何とか対応することが出来ました。
 基調講演は厚生労働省福祉工学専門官の小野栄一氏に「厚生労働省 福祉工学専門官のまわりに吹く新たな風」と言うタイトルで講演して頂きました。
 パネルディスカッションは「いま考える、当事者発のリハビリテーション工学」という今回のカンファレンスのメインテーマで当事者の方々をパネリストとしたディスカッションを行いました。この内容の一部はNHKの夕方のニュースでも紹介されました。また、障害当事者セッションを設けて障害当事者の方々から17演題もの話題を提供して頂きました。さらに特別企画セッションとして発達障害者に役立つ支援技術について考えるセッションや関連企画として発達障害のある子どものコーヒー販売体験活動を行いました。このコーヒー販売体験活動はNHK首都圏ネットワークで特集として放送されました。また、全国頸髄損傷者「実態調査」報告会やリハビリテーション工学基礎講座などもありました。リハビリテーション工学基礎講座は今回初めて企画されたもので、リハビリテーション工学とは何かについて1日で概要を理解して頂くよう構成されたものです。予想以上の方が参加されていました。
 もちろん一般口演も89演題が登録され、活発な発表が行われました。実物展示、実演を含む展示としてのインタラクティブセッションも15演題あり、盛況に実施されました。また、国際セッションも18演題あり、海外からも14人とやや少ないですが、参加者がありました。その他、福祉機器コンテストへの応募作品の展示や、ランチョンセミナーなども開催されました。
 通常業務の平日での3日間の開催で、学院を始めとするセンター各部門の方々にはいろいろとご迷惑をお掛けしたこともあるかと思いますが、ご容赦頂ければ幸いです。
 次回は、平成22年8月26日(木曜日)〜28日(土曜日)に仙台で開催されます。カンファレンスに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非とも参加して下さい。なお、16年前に所沢で開催された第8回リハ工学カンファレンスの翌年の第9回リハ工学カンファレンスも仙台で開催されており、なにか因縁のようなものを感じます。
 所沢での開催と言うことで、所沢市からも市内の観光案内や手打ちうどん焼だんごマップなどの紹介パンフレットを4種類も提供して頂きました。パンフレットがあるかどうか不安でしたが、頂いてみて所沢の案内がこんなにあるとは全く思いませんでしたし、内容を見て所沢を再認識しました。また所沢航空発祥記念館にもご協力をお願いし、リーフレットとパンフレットの提供を頂きました。
 最後に、ご協力頂いた多くの方々に、もう一度、お礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

(写真)第24回 リハ工学カンファレンス