〔更生訓練所情報〕
平成21年度卒後研修会・東光会学術大会を終えて
理療教育・就労支援部理療教育課 飯塚 尚人


 今年も10月3日(土曜日)に理療教育課程の卒業生を対象に、同窓会の東光会との共催で卒後研修会が実施されました。この研修会は、当センター理療教育課程の卒業・修了者に、理療に関する知識と技術の研修を行い理療技術の向上を図ることを目的としています。一般にマッサージや鍼などの理療施術が筋を対象に行われていることが多いのですが、今年度は、観点を変えて「皮膚への理療施術」をテーマとして企画されました。当日は、理療教育課程の利用者7名を含め39名が午前中の講演、午後の公開実技に参加し学術の研鑽に励みました。参加者はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師として治療院を開業している卒業生ばかりでなく、企業内で社員を対象としてマッサージを行うヘルスキーパーや特別養護老人ホームなどの介護福祉施設で機能訓練指導員として勤務している卒業生もおり、それぞれの分野で効果的な施術が求められています。
 午前中の講演はまず、皮膚をつまむ「整膚療法の実際」について、文京区の白山下接骨院院長関口勝夫氏による豊富な臨床経験から示唆に富む講演がありました。皮膚を痛くなく引き上げる、整膚療法を行うことにより、血液やリンパの循環を改善し、それにより関節の動きが改善されたり、「熱に弱い脳」を放熱により護る効果が期待できること、また「ヒトは歩くことにより心身の機能を維持している」ことから、正しい歩行の意義、そのための姿勢や関節の動きの重要性を説いておられました。
 次に、「接触鍼の実際」について、新宿区高田馬場の東方堂鍼灸院院長の小野博子氏がレジメに沿って丁寧に解説をしていただきました。一般に鍼施術は鍼を何センチメートルか刺入するものと思われがちですが、的確な診察と施術部位や手技を誤らなければ皮膚への接触程度の微細な刺激でも十分に効果があがることを説かれました。
 午後は実技室を会場に整膚療法、接触鍼の公開実技が実施されました。午前中の講演でイメージしていた手技とは別に実際に体験してみて様々な疑問が生じ、あちらこちらで先生方との活発なやり取りが交わされました。また接触鍼の会場では、小野氏と共に東方会会長の丸山治氏が参加者をモデルに解説を加えながら接触鍼の手技から臨床の実際を公開していただきました。特に背中に対するすばやい手さばきには参加者も目をみはっていました。
 今年度も、企画の段階から東光会の担当者と共に検討を重ね、当日は講師の先生方の紹介、講演や公開実技の司会・進行は4名の卒業生が分担して担当しました。当日は午前の講演終了後、講師の先生方との打合で午後の会場が変更になりましたが、混乱もほとんどなく、無事に終了することができました。参加者数は決して十分とはいえませんが、午後の公開実技や指導に当たる講師の先生方の状況を考えると今回の人数でよかったのではと思っています。
 今後も、東光会と共に卒業生の要望を取り入れつつ、就労先で理療に求められるものを考慮しながらテーマや講師の選択、また研修の方法を検討していきたいと考えています。