〔センター行事〕
センター創立30周年記念式典開催される
 



 去る平成21年12月7日(月)、天皇皇后両陛下の御臨席を賜り、当センター学院講堂において、「国立障害者リハビリテーションセンター並びに国立職業リハビリテーションセンター創立30周年記念式典」が挙行されました。
 当日は朝から穏やかな晴天となり、式典日和ともいうべき気候に恵まれ、長妻昭厚生労働大臣、上田清司埼玉県知事並びに斎藤十朗全国社会福祉協議会会長等がお迎えする中、午前10時55分、両陛下がお乗りになった御料車が学院棟前に御着きになりました。


(写真1)両陛下がお乗りになった御料車が学院棟前に御着きになりました。

 午前11時15分、厚生労働省関係者、団体関係者及び両センター利用者等約500名余りの出席者がお迎えする中、岩谷総長の御先導により両陛下が式典会場に御臨場され、粛然たる雰囲気の中に式典が開会されました。


(写真2)両陛下が式典会場に御臨場され、粛然たる雰囲気の中に式典が開会されました。

 壇上中央に両陛下がお座りになり、左側に主催者代表、右側には特別来賓が座し、国歌斉唱、岩谷総長による式辞の後、天皇陛下よりお言葉を賜わりました。天皇陛下は「経済情勢が厳しい状況にある今日、ここを巣立った人々のことが案じられますが、センターでの様々な経験を生かし、幸せな日々を過ごされるよう祈っています。」と述べられました。その後、厚生労働大臣のご挨拶、埼玉県知事、全国社会福祉協議会会長からの来賓祝辞があり、おわりに、長年にわたり当センター利用者の就業に多大な協力を頂いている株式会社ヤオコー様に対し、岩谷総長から感謝状が贈呈され、盛会のうちに滞りなく式典を終了しました。


(写真3)株式会社ヤオコー様に対し、岩谷総長から感謝状が贈呈されました。

 式典への御臨席を終えられた当日午後、天皇皇后両陛下は、病院第一機能回復訓練部理学療法室での理学療法、脳・器械インターフェイス(Brain Machine Interface)による環境制御装置操作訓練の様子をご覧になられ、その後、更生訓練所理療教育・就労支援部第5就労支援室でパソコンを用いた事務訓練の様子を御視察になられました。
 病院第一機能回復訓練部理学療法室では、切断の患者さんの歩行訓練、片麻痺の患者さんの立位訓練の様子について赤居病院長、飛松診療部長が説明を行いました。はじめは緊張の面持ちの患者さんも、両陛下の優しい励ましのお言葉に緊張も解け、歩行訓練の様子などを見て頂くことができました。


(写真4)歩行訓練をご覧になる両陛下

 脳・器械インターフェイスのご説明は研究所の神作室長と研究員が行いました。患者さんは頸髄損傷の方ですが、コンピュータ画面を見つめ、脳波によって電灯をつけたり、コンピュータ画面を切り替えたり、訓練の成果を見て頂いたところ、両陛下は大変興味を持たれ、次々とご質問をされ、疑問に思ったところは納得するまで説明を求め、また理解しようとするお姿に居合わせた一同は大変感動いたしました。


(写真5)脳・器械インターフェイスの訓練の成果をご覧になる両陛下

 片麻痺の患者さんの上肢訓練では、緊張する患者さんに陛下は優しい励ましのお言葉をかけられ、患者さんの感激もひとしおでした。また、頸髄損傷の患者さんのトランスファの訓練の様子をお見せし、両陛下は訓練の様子をじっとご覧になり、励ましのお言葉をかけておられました。
 第5就労支援室では、江藤更生訓練所長の御案内のもと、お二人で利用者に次々と親しくお声をお掛けになられました。「体の具合はどうですか」との天皇陛下のご質問に「交通事故に遭って高次脳機能障害になりました。でも元気で頑張っています。」と答えた伝票チェック訓練中のYさんは、「頭が真っ白になった。お二人ともすごいオーラを感じた。」とのことでした。また、事務ソフトの基礎訓練に取り組んでいたSさんは、皇后陛下の「これからも頑張って下さいね。」とのご激励に「ありがとうございます。」と答えた後で、「テレビで見る以上にお綺麗だった。お話の仕方がやさしく、目線を合わせていただけるので、とても話しやすかった。」と喜んでいました。


(写真6)第5就労支援室では、お二人で利用者に次々と親しくお声をお掛けになられました。

 当センターの御視察を終えられた両陛下は、国立職業リハビリテーションセンターに向かわれ、OAシステム科を御視察し、構内沿道に溢れるばかりに集った職員、利用者、入院患者等多数のお見送りを受けつつ、午後2時32分、センターを後にされました。